第48話奮起
ハーパーが独房に入ったという噂はすぐに囚人達の耳に届いてきた…
「うー…ジョンさんどうしよう…ハーパーが…」
ミラは涙を溜めてジョンに抱きつく…
ジョンが慰めるように背中を撫でると
「大丈夫だ、ああ見えてハーパーは強いぞ。俺が独房で何日いたと思ってるんだ、ハーパーなんか1ヶ月くらい大丈夫だろ?」
ジョンが笑うがミラの表情は晴れなかった…
ハーパーが入れられて数日がたった。
「おい!ローガン!ハーパーはどうにかならんのか!?」
ジョンがローガンに泣きついてきた。
「どうしましたか?」
ローガンは忙しそうにする中ジョンをちらっと見ると
「ミラがハーパーの事を気にして飯を全然食わないんだ!」
「なんですって?ちゃんと説明したのですか!ミラのせいではないと!」
「言ったさ…でもミラは自分のせいだと…あんな料理を作ったからって」
「あの料理は素晴らしいです…ですがミラがそんなに気にしてしまっているとは…」
「どうにかミラを元気づける方法はないか?」
ジョンがローガンに聞くと
「それはハーパーが慰めない限りダメでしょうね…では作戦を急ぎましょうか…」
ローガンはジョンと共にミラの元に向かった。
ローガンはベッドで丸くなるミラを見つけると
「ミラ、どうしましたか?元気がないとジョンが心配していましたよ」
猫の様に丸くなっているミラを抱き上げるとそっと膝に乗せる。
「ローガンさん…ハーパーっていつ帰ってくるの?看守に酷い事されてない?」
ミラは眉を下げてローガンを見つめる。
「ミラは優しいですね、看守達の振る舞いなど何時もの事です。ハーパーもわかっていますしミラが気にする事は何もないのですよ」
ローガンが優しく言うがミラの表情は冴えない…
「では…ミラまたご飯を作って頂けませんか?ミラのその記憶にあるご飯を…」
ローガンがミラの頭をちょんちょんと触ると
「また…誰か捕まちゃうから…やだ…」
ミラはブンブンと首を振ると
「いえ、今回は看守達に作って下さい…もし彼らを満足させられたら…ハーパーはきっとすぐに戻ってきますよ」
「本当に?」
「ええ」
ローガンが頷くと
「でも…看守が満足しなかったら?」
「大丈夫、ミラなら出来ると信じていますか。ビオスも腰が治ったようですから二人で美味しいしものを作って看守を唸らせて下さい」
「そうすればハーパーが帰ってくる…」
ミラはつぶやくと
「やる!私美味しいご飯作ってみる!」
ガバッと立ち上がるとローガンは嬉しそうにミラを見つめていた。
その様子にミラは気がつくと、ローガンにそっと抱きつく。
「ローガンさん、ありがとうございます。心配かけてごめんなさい」
ギュッと力を込めるがローガンさんから反応がない…
あれ?呆れちゃったかな?
ミラはそっと離れると伺う様に様子をみる。…そこには嬉しそうに破顔していローガンさんがいた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます