第42話料理

「えっと…確かじゃがいもを茹でて、潰して固めてあげればいいんだと思う…」


「思う…って知ってるんだよな?」


ミラの説明にハーパーが不安そうに聞くと


「見た事はあるけど…作った事はない」


「そりゃそうだよな、お前ここに入ったの初めてだろ?」


「あっ…前の記憶でって事ね」


「あー…もしかして今から作るのって前の記憶の料理なのか?」


「うん、そうだよ!」


「へーそりゃ興味あるな、よしどうする?」


「じゃがいもは茹でてあるから、それをとりあえず潰そう!」


ミラ達は熱々のじゃがいも皮を剥いていく。


「あつっ!」


じゃがいもの熱さでミラの指先が赤くなると


「あーあ、ここは俺がやるからミラは違うことやっとけ」


ハーパーはミラからじゃがいもを取り上げた。


「でも…まだこんなにあるよ」


「こんなのすぐ出来るから、ミラはこの棒でじゃがいも潰せ」


ハーパーがすりこぎの様な棒を持ってくると剥いたじゃがいもをどんどん鍋に放り投げる。


「わっ!」


ミラはどんどん積もるじゃがいもに驚きながらもガシッガシッ!と芋を潰した。


「ふー…やっと終わった」


汗をひと拭きする。


「じゃあこれを適当な大きさに整えて…えっと…小麦粉と卵とパン粉をまぶしてあげるんだったかな?」


「小麦粉はあるが…卵はノアに出してもらおう。あとパン粉ってのはどんなのだ?」


「あっそれはパンを細かくすればいいだけだよ」


ハーパーとノアの力を借りてどうにかコロッケの原型ができると


「うーん…なんか形も悪いし…合ってるのかな…」


思っていた様に出来ずに不安になる。


「大丈夫、大丈夫。食えるもん使ってるんだ、食べられないって事はないだろ」


ハーパーは気にした様子もなく油の用意をする。


「でっ?これ入れりゃいいのか?」


まだ温まっていない油にハーパーがコロッケを入れようとすると


「待って!油を温めてから入れるの!」


「えっ…」


ハーパーの手からはコロッケが落ちていた…


二人は油に沈んだコロッケを見つめると…


「ま、まぁこの後温めれば大丈夫かな?」


「そ、そうだよな」


ハーパーは油の鍋に火をつける、しばらくすると中のコロッケから泡が出てきた。


「あっ!温度上がったかな?」


油が温まるのを待っていると…


パチッ!


油がはねてミラとハーパーを襲う!


「あつっ!ミラ離れろ」


ハーパーがミラを抱きあげて遠くに離すと


「ここは俺がやるから、ミラはそこから指示出せ」


「だ、大丈夫?」


「ああこのくらい大丈夫だ」


ハーパーは熱くなった油にコロッケを入れていくと


「あんまり入れすぎない方がいいよ、それで茶色く色が付けば大丈夫だからお皿にあげてね」


「わかった」


ハーパーはじっとコロッケを見つめている。


「じゃあ私はポテトサラダのマヨネーズ作ろっかな…」


ノアちゃんが出してくれた卵を取り出して黄身と白身に分けると油とお酢を入れる。


「よく混ぜる!」


カシャカシャと混ぜるが…


「あれ?なんか分離してる…」


なんか上手くいかない…


するとノアちゃんが心配そうに見に来た。


「あっノアちゃん…これ本当は綺麗に混ざって白っぽくなるはずなんだけど…」


失敗作にしょんぼりとする…


「ピ~…」


ノアちゃんが励ます様にスリスリと体を察すってくれる。


「ありがとう~もう一回やりたいけど…これもったいないしな…」


「ピッ!」


するとノアちゃんが小さく鳴くと…マヨネーズもどきがグルグルと回り出した!


「なっ!」


驚いて見ているとミルミル混ざっていき白くもったりとなる…


「マ、マヨネーズだ…」


ペロッと味見すると少し塩味が足りない…


「これ塩とか入れるのかな?」


ミラはパラパラと後から塩をふりかける。


「うーん…まぁ最初だしこんなもんかな!ノアちゃん食べてみる?」


マヨネーズを少し取ってノアちゃんに差し出すとつんつんとつついて口に含んでいる。


「ピィ~!!」


するとノアちゃんが大きな声をあげた!

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