第36話食堂

「おはようございます!」


ミラは食堂でみんなに元気に挨拶をした!


「ミラちゃん!」


「おはよう!元気になったんだね!」


「よかった~」


ミラのいつも通りの姿に囚人達が顔を綻ばせて近づいて来た。


「みんなおはよう~もうお腹ぺこぺこなの」


ポコッとしたお腹をさすると…


「ミラちゃん俺のパン食べる?」


「あっ俺のスープあげよっか?」


デレッとしながら自分の分を差し出してくる。


「おい、ミラの分はちゃんとあるから大丈夫だ、あんまり食べさせすぎるなよ」


ジョンがみんなを止めると


「あっ?ジョンいたのか?」


「お前のせいでミラちゃんが痩せちゃたんだろが!」


ドンッ!とジョンの肩を押すと、ミラが顔を曇らせると…


「ジョンさんいじめちゃダメ…」


みんなの前に立って手を広げてジョンさんを庇うと


「ご、ごめんよ…いじめてないよ。注意しただけだよ」


囚人達が慌ててジョンから手を離す。


「そうそう、ミラちゃんを置いてったんだぜ。ちょっとは怒ってやらないと」


囚人達が頷くと


「そっか…」


ミラがチラッとジョンを見上げる。


「じゃあ今日はジョンさんのご飯貰っちゃおうかな!」


ミラが笑ってジョンさんを見ると


「それがいいよ!迷惑かけたやつからもらいな!」


囚人達がニヤニヤと笑いながらジョンを見つめる。


「お前ら…」


ジョンは悔しそうに囚人達を睨みつけた。


ミラを席に座らせて食事を取りにいくと…


「おう、やっと帰ってきたのかこの馬鹿野郎は」


食堂担当のオヤジが顔を出した。


「うるせえ…早く飯くれよ」


「お前のせいでただでさえまずい飯がさらに不味くなっちまった」


「なんだそりゃ?俺のせいなのか?」


オヤジは二人分の食事を盛りつけると


「お前がいないせいでミラが食べない、そうなると他の奴らも食欲が無くなる…ほらお前のせいだろ」


そう言ってドンッと食事を置くと…


「なんだこりゃ…」


あからさまに差がある二つの食事を見つめる…一つは品数も多くあからさまに量も多い…


「いいか、これはミラのだ。そんでもってお前のはこっち」


具のないスープとカチカチのパン…じゃがいもをふかしただけの物か半分だけ乗っかっている。


「わかったよ…」


ジョンは二人分の食事を持ってミラの元に向かった。


ジョンが戻るとミラの周りには人集りが出来ていた。


「おい!どけ!」


人を退かすとミラの前には囚人達の貢物が置いてあった…


「こんなに…どうするんだ」


ジョンが呆れると


「いらないよって言ってるのにみんな置いてくんだもん」


ミラが困ったように笑う。


「まぁそれは後で食え、とりあえず食堂のオヤジがミラに食えってよ」


ミラの前に食事を置いてやると


「わぁ!たくさん!」


ミラが顔を輝かせる!


「いただきまーす!」


手を合わせるミラに囚人達は顔を崩して見つめていた。

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