第15話メイソン2
ジョンはミラをメイソンに預けると牢屋を出ていった…
ミラは寂しそうにその背中を見送ると
「どうしたミラ?寂しいのか?」
メイソンが小さいミラの手を掴み、中へと誘導する。
「じょんしゃんおしごとだから…へいき…ミラはめいしょんしゃんとまってる」
ミラが寂しさを隠す様にヘラッと笑うとメイソンは眉を下げてミラを抱き上げる。
「こんなに可愛い子に我慢をさせて…あの男は困ったもんだね」
メイソンがため息をつくと
「じょんしゃんいいこだよ…ミラのこといいこいいこしてくれるもん」
プクッと頬を膨らませる、ジョンが怒られたと思ってご機嫌ななめになってしまったようだ。
「ごめんな、ミラがジョンの事ばかり言うもんだから私が嫉妬していまったんだよ」
「しっと?」
「ヤキモチのことだ、ジョンの方がいいのかと思って寂しくなってしまったんだよ」
メイソンが説明すると、ミラはメイソンの首にぎゅっと抱きつく!
「めいしょんしゃんめんね…さみしくない?」
力いっぱいメイソンに抱きつくと、メイソンからくすくすと笑い声が聞こえてきた。
ミラは手を離すとメイソンの顔を見る、その顔は嬉しそうに笑っていた。
メイソンの嬉しそうな顔にほっと息を吐くと
「ありがとう、ミラのおかげで寂しい気持ちが何処かにいってしまったよ。お礼に今日はなんでもお話を読んであげよう」
メイソンのことばにミラは顔を輝かせると、メイソンの牢屋の本棚に並ぶミラ専用の本棚からどれにしようかと読んでもらう本を真剣に選んでいる。
メイソンはそんなミラの横顔を堪能しながら待っていた。
悩んで持ってきた本を受け取るとミラを膝に抱きながら声を出して読んでやると…
「めいしょんしゃん…これは〝き〟〝よ〟〝う〟だよね」
ミラが文字を指さして話だした。
「そうだな、ミラは凄いなもう字が読めるのか?」
メイソンが驚いてミラを見ると…
「なんか…よめた…」
ミラが首を捻っている、なぜ読めるのかわからないような仕草に愛着が湧く…ヨシヨシと頭を撫でて眉間によった力をほぐしてやると
「ミラは本が好きでよく読むから自然と覚えたのかもしれないな…まぁ元から頭もいいが…」
メイソンがミラを見ると
「何かしてみたいことはあるかい?欲しいものでもいいぞ」
ミラは少し考えると…
「みんなと…じゅっといれる?」
コテンと首を傾げて聞いてくる。
メイソンはハッと驚いた顔を見せてしまうが、すぐに笑うと…
「ずっとか…そうだな…いれたらいいがそれはわからんな」
メイソンの言葉にミラはガックリと肩を落とすと
「じょんしゃんも…ろーがんしゃんもずっとはむりって…」
ミラの言葉にメイソンは苦悩する…ミラとはずっといたい…それはここの囚人達みんなの願いだろう…しかしそれと同時にミラには外の世界で自由に生きて欲しいとも思っている。
ジョンやローガンもきっと同じような顔をしてミラに話したことだろう…そしてそれは自分も同じ答えを言わなければいけないと言う事だった…
「私達はみんなお前が好きだ。大切な私達の子だ。だからこそミラには自由に楽しく生きて欲しい…その為にはずっとここにいる訳にはいかないんだ」
「うん…」
ミラはコクッと頷く。
やはり聡い子だ…こんなに小さいのに自分のわがままが私達を困らせるとわかっている…
だからミラは私達が本当に困るようなわがままは決して言わない、もし本気でミラがわがままを言ったら…ここにずっと居たいと言ったら…
その時は自分はどうするのだろう…
メイソンはそんな日が来て欲しいような欲しくないような気持ちでミラを抱きしめた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます