第16話ローガン
メイソンの牢屋でお留守番をした数日後…今日はローガンの牢屋に行く日だった。
「今日はローガンのところだな、忘れ物はないか?」
ジョンが聞くと
「おきがえもった!」
小さなカバンを首から下げて見せてくる。
「よくやった」
いつもの様に褒めてやると嬉しそうに顔を綻ばせていた。
ソワソワするミラと待っているとローガンがジョンの牢屋に顔を出した。
「お迎えに来ましたよ」
ミラを見つけるとニコッと笑いかける。
「ろーがんしゃん!」
ミラが駆け寄ろうとすると…
「ほら、走ったらまた転びますよ」
ローガンが注意をすると、ミラはハッとしてそろそろと歩き出す。
急ぎたいけどゆっくり歩く仕草にたまらずローガンの方から近づくと
「ちゃんと守って良い子ですね…そんないい子にはこれを…」
ローガンはポッケから飴を取り出した。棒が付いたその飴は紫色に輝いている。
「ミラの瞳の色と同じ紫の飴です」
ローガンが差し出すとミラは嬉しそうに受け取ってお礼を言う。
「ありがとうごじゃいます!なめてもいい?」
ローガンを上目遣いに見つめると…
「ええ、どうぞ」
ローガンが嬉しそうに頷いた。
「またそうやってミラを甘やかせる…飯の前に腹いっぱいになったらどうすんだよ」
ジョンが呆れると
「飴の一つや二つ大丈夫ですよ。どうぞミラ食べていいんですよ」
優しく促すとパクッと小さい口で飴を頬張る。
コロコロと口で飴を舐めるが大きかったのか頬が膨れていた。
「美味しいですか?」
夢中で舐める姿にローガンがニコニコと笑いながら感想を聞くと、ミラは飴を取り出して…
「あまいの、これぶどー?」
ローガンに聞くと
「正解です、いい子のミラにはもう一個プレゼントです」
違う色の飴を出すと、ミラは受け取って飴をマジマジと見てローガンを見つめる。
「ろーがんしゃんとおなじー」
ローガンの瞳に飴を近づけるとその飴はローガンの瞳と同じミントグリーン色をしていた。
「よく分かりましたね」
ローガンが満足そうに頷くと、ミラは自分が舐めていた飴と今貰った飴を並べる。
「ミラとろーがんしゃんのあめー」
嬉しそうに見せてくる。
「ローガン…やるなら自分の牢屋でやれよ…」
ジョンは楽しそうな二人を悔しそうに見つめた。
「おや、それは失礼しました。ではミラ私のところに行きましょうね」
ローガンがミラに声をかけると…ミラは紫の飴を見つめて…
「これ、じょんしゃんにあげてもいい?」
ローガンに伺うように聞いてくる。
嫌と言えるはずもなくローガンは頷くと、ミラはトコトコとジョンのそばにいき食べかけの飴を差し出した。
「どうした?」
ジョンは飴を受け取ると…
「しょれね…ミラなの、おしごとがんばって」
ジョンは飴を見つめると…
「これをミラだと思って大事に持ってるよ、ありがとうな」
ジョンが嬉しそうに受け取るとローガンは仕方なさそうに微笑んだ。
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