とある生徒会の日々に(三学期)
縛那
第1話 あなたの選んだこの時を その1
「っち、だめだだめだ!! こんなんじゃ明日までに終わらない」
ほとんどの人間がとっくに寝ているであろう時間、俺は1人頭を抱えていた。
「ったく……会長も無茶を言ってくれる。いくら俺でも出来ることとできないことが……」
俺はノートパソコンの画面を見つめ、椅子に背を預けたままため息をつく。
今俺は、明日生徒会で使う資料を絶賛制作中なのだが……。
そばにおかれたメモにちらりと視線を向ける、そこにはびっしりと会長の要望が書かれていた。
この全ての案を取り入れ、まとめたものを明日までに資料として仕上げろと命令されたのだ。
俺はとりあえず、、その無茶苦茶な要望を半分までは消化しまとめることが出来た……。がっ!!
「まったく! 後半なんかほとんどあいつの願望じゃないか!! こんなのどうやっーー!!」
ふと背後に『気配』を感じ、振り返る。
しかし、背後には何もいなかった。
だが、確かに何かがいたような『気配』はまだそこに残っていた……。
「なんだなんだ? 美少女なら大歓迎だぞ?」
俺は辺りを見回し、冗談混じりに呟く。
「はい! ストッープ!」
まだ、話し始めて間もないというのに直に止められる。
「あのね……井上君……」
星奈さんも、俺の方を見て頭を抱えていた。
「あんた、さぁ……その……他にないわけ?」
清美に関しては顔は笑っているが内心はどこかイラついているように見えた。
「まぁ……晴美的には何でも良いです。それより先輩。今、すごく良いところなので続きを話すのならもう少しお静かにお願いします」
晴美ちゃんが冷たい……。
えっ? なんなら、今の中で1番キツくない?
えっ? ってか、ゲームやってるの? 俺、話してるのに!?
まぁ、相当今やってるゲームが面白いのだろうけど……。
いやいやでもおかしくない? 一応、会議って体だったよね?
「あたし、飲み物買ってきていい?」
「いいぞ。だいたい話は終わったし」
「いや! 待てい!! まだ話はーー!!!」
「それじゃあ、私今のうちにお手洗い行ってくるわ」
「あっ、私も付き合おう。星奈、連れションと行こうじゃないか」
「あらあら、直ったらお下品ね〜」
「いやいや!! お下品ねーってそんなにこやかに談笑しつつ出ていこうとしないでくださいよ!!」
「なんだ? 薫、私たちが病気になっても良いというのか?」
「いや、そうは言ってないがーー」
「あっ、じゃああたしもついでに」
「晴美も行きます」
「えっ……ちょ!! まっーー」
俺の制止も虚しく、4人は揃って生徒会室を出て行ってしまった。
「なぁなぁ続き、聞かせてくれよ!!」
そんな俺の気持ちなど知らずに、愛花は目をキラキラさせていた。
なんだろう……。母さん、俺今すごく泣きたいです……。
「泣けば?」
「ぬわぁ!? なんでここにいるんだ? 由梨! ってか、俺の心の声を読むな!」
いつの間にか、俺の真っ正面の席に座った由梨に驚き転倒しそうになる。
「お決まりとはいえ、なんでそんな同じ話を何百何千とできるのか、私は不思議だよ〜」
そう言って、由梨は俺を見て笑っていた。
「はぁ……どうしてお前がここにいる? 確か、花愛と2人話したいことがあるってーー」
「話なら終わったぞ」
「ぬわぁ!! だから、お前らさも当然のようにいきなり現れるな!! 心臓に悪い」
「キ◯ン?」
「そのネタもあるけど、そうじゃない!!!」
「あー……機密事項?」
「ハ◯ヒネタから離れろ!!」
「それより、薫。今日は生徒会の会議と聞いていたが……。なぜ、貴様と愛花とその女しかいないんだ?」
「聞かなくてもなんとなく察してるだろ? いつもの茶番の後だよ。今は」
「……なるほど。なら、しばらくは帰ってこない……というわけだな?」
「多分……な」
「なら、好都合。薫、いきなりだが……時間を進めるぞ」
「はぁ!? 何言ってーー」
そんな俺の言葉は、突然の頭痛と眩暈でかき消され俺の視界は自然とブラックアウトした。
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