第2話 カフヱ・ヱリス
森のど真ん中で立ち尽くしているのもなんだかなな
ので、このまま奥に行ってしまおうと考えた。
きっとどこかに行けるはず。
行ってなにもないなら帰ってくればいい。帰ってこれるかはわからないけど。
ずんずん進む、森の中。
「わぁ…」
そこには絶壁の崖が………ではなく、一つの村があった。
たくさんの家が並んでいる。目の前には広場があり、少し視線を右に動かせば喫茶店が。奥の方には学校らしきものと神社が見える。あとは何かよくわからない施設。
だがなんというか…全体的に活気がない。
「というか、人がいないな」
こんなにもたくさんの建物があるのに、人の気配がしない。だがさびれた廃墟という感じもしない。
「喉乾いたし、喫茶店にでも寄ろっかな」
『カフヱ・ヱリス』
と書かれた喫茶店に足を踏み入れてみた。
キラキラと輝くステンドガラス調の押戸を開ければ、中も同様にステンドガラスの窓で店内が虹色に輝いていた。
「あら、いらっしゃい」
奥のカウンターで文庫本を読んでいたハーフアップで袴を着た女の子がこちらに気が付き声をかける。
「お好きな席、どうぞ」
近くの席に腰を下ろした。
メニューをパラパラとめくって、何を飲もうかと眺めてみれば、自分の知っている「メロンクリームソーダ」というものがあったので早速それを頼んでみる。
美味しそうな黄緑色のジュースが運ばれてきた。上にアイスが乗っているのというのもあり、食欲がそそられる。
じゅこーっと音を立てて飲んでいれば、視線を感じた。あの女の子だ。
ちらりとそちら側を見れば、文庫本を読んでいるふりをして目線はこちらを向いている。
「えっと…何か?」
「いいえ、別に。ただこんなさびれた村に人が来るなんて珍しいと思っていただけだわ」
あたりのきつい女の子だなぁ…。
気づけば空になっていたので、お金を払いその場を立ち去ろうとしたのだが、困ったことにこの時代の金銭のことがよくわからない。これはこれは…。
転生(?)してからの二度目のピンチ、少し早すぎでは、とは思わずにはいられなかった。
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