過去に戻って文明開化のお手伝い

和狐

第1話 旅人

目の前に広がるは大正ロマン。

街ゆく人たちは皆、コスプレイヤーのような出で立ちだ。日本史などの教科書で見る世界が今、眼前に広がっていた。


「どこだ、ここ」


あぁ…これは…。

"転生"とか言うものなのだろう。

自分は死んだのかもしれない。病室のベットの上で。


「異世界っていうよりも、昔の日本みたいだな…ここ。」

見える限りの情報と、自分の持ち合わせている知識から見るなら大正時代の日本だ。汽車なんていまどき走っているはずがない。

「なんかこう、あれだな。異世界ものの小説の読み過ぎで、こういう事態になっても受け入れちゃってるっていう自分が怖い」

手をぐーぱーさせながら独り言をつぶやく。

別段この手からなにか特殊なものが出てくるような気配は感じられない。魔物もいるような気配ですらない。ただの平和な大正時代。

自分の服装はというと、なんだか旅人のような服装だ。手には大きな旅行カバンが握られている。

「ふむ…」

開けてみるかとも悩んだが、こんな街のど真ん中でバックの中身を開けるというのは少々人として出来ていない。

「まずは情報収集だ。歩こう」

以外とマイペースな思考の持ち主だった。


【如月 柊】

齢18歳にして病気のために死亡。

大正時代と思われる世界にて目が覚める。

マイペースでとにかく行動に移すタイプなので、これから先どんなことがあろうともなんとかなるかもしれない。



「迷子かな…」

どうやらなんとかならなかったらしい。

森のど真ん中。

人の気配すらしない。

これは、かなり、

「まずいな」















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