昔のRPGのようなエンカウント率
折角とても良い気分だったのに台無しだ。
「…二人が付き合ってるってのは本当だったんだな。」
「…ちゃんと言ったのに。」
「まだ信じて無かったのか。」
というか
「獅童達こそデート中か?なんだお前達付き合ってたのか?」
これに更科が反応する
「うるっさいわね !アンタ達には関係ないでしょ?」
「…そうだ、天川には関係ないだろ。」
「ああ、全く関係ないな。」
「だったら…」
「けどお前達だって、俺と茜の関係に対して随分と色々言ってくれただろ?」
「それはお前と地堂じゃ釣り合いが…。」
「釣り合う釣り合わないなんて、それこそお前達には関係無いだろ。しかもお前は釣り合いがとれてなかったら、他人の彼女に 二人で遊びに行こう なんて言うのか? 」
いやそもそも獅童達は、俺と茜が付き合ってるってのを信じてなかったな。獅童が答えづらそうにしてると更科が口を挟んできた。
「アンタさっきからなんなのよ!お互い関係ないってんならもういいでしょ?!もう行くわよ直哉!」
「あ、おい待てよ桃花!」
そう言って更科が歩きだし、獅童は最後に茜をチラリと見て更科を追いかけて行った。
え、まさかまだ諦めてないとかないよな?
「ごめん茜。」
「大丈夫だよハル君。」
目の前で獅童と言い争って嫌な気分にさせてしまったかと思い謝ったが、茜は本当になんでもなさそうだった。
しかし更科って前からあんな感じだったか?もっとわざとらしいぐらいに馬鹿っぽくヘラヘラ振る舞ってた気がするが…。
ま、どうでもいいか。
「雑貨屋へ行こうか。」
「うん。」
1時間くらい茜と雑貨屋を見て周り、色ちがいのマグカップを購入して帰宅する。
そのまま茜と俺の家へ、買ったマグカップを家に置きに帰らないのか? と聞くと。
「これはハル君のお部屋で一緒に使うやつだから、ハル君のお家に置かせて欲しいんだけど…駄目かな?」
駄目な要素ゼロだな。
元々、俺の部屋には茜用のクッションや枕も置いてるしな。
家に入ると玄関まで母さんが出迎えてくれる。
「お帰り悠人、茜ちゃん。二階に上がる前に手洗いしなさいね?」
「わかってるよ。」
「はい。」
あ、そうだ。
「母さん、このマグカップは茜用だから。」
買ってきたマグカップを母さんに見せる。
「茜ちゃん用のマグカップ?あら、そう。次は茜ちゃん用の歯ブラシとかいるわね?」
腹のたつ笑顔で母さんが言う。
「茜さっさと手を洗って、俺の部屋に行こう。」
「え、え?でも…。」
「いいから、ほら。」
茜の手を引いて洗面所に移動する、先ほどよりも腹のたつ笑顔の母さんが視界の端にみえた。
手を洗い俺の部屋へ。茜は何時もの様に茜用クッションに座ったので、前読んでた本を渡す。
「あ、栞挟んでくれてたんだ。」
ああ、と短く答える。
「飲み物を入れてくるよ。ココアとお茶、どっちがいい?」
「ハル君ココアで!」
「はいはい、ちょっと待っててな。」
茜は昔から俺の入れるココアが好きで『ハル君ココア』と呼んでいる。 普通の市販のココアなんだけど…ミルクは多めにいれるが。
一階で母さんにウザ絡みされつつ、自分のコーヒーと茜のココアを、今日買ったマグカップに入れて部屋に戻る。
「お帰りなさいハル君、ココアありがと。」
ココアの入ったマグカップを嬉しそうに受け取る茜。
「ハル君、今日は楽しかったね。」
そう言いながら茜は俺の隣に移動してきた。本はもういいのだろうか?
「ああ、久しぶりのデートだったしな。」
「うん…また行こうね…?」
少し不安そうに上目遣いで言われた。
「勿論、これからは沢山デートしよう。休みの日も、平日に学校が終わった後にも。」
「本当?」
「本当だ。もっと茜と色々な場所に行きたいからな。」
茜の肩を寄せて顔を近づける
「沢山思い出を作ろうな。」
茜が手を回し抱きついてきて
そのままキスを…………あ
この…タイミングで……
疲労耐性が切れた俺はそのまま意識を失った。でもその瞬間、唇に柔らかい何かが触れた。
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