最近ツンツンしてた幼馴染み彼女に、別れを告げようとしたら異世界に召喚されました。 ~ 異世界救って帰ってきたから彼女を幸せにしようと思います。え?別れませんよ? ~

@enji2815

だから別れよう…なんて思っていた


 学校からの帰り道

 俺 、天川 悠人(あまかわ はると)は彼女の地堂 茜(ちどう あかね)と高校から帰宅していた。お互い帰り始めて15分程 無言のままだった。


 俺達はお互い同じ病院で産まれ、家は隣でお互いの家族同士も仲の良い幼馴染みだった。

 俺は小さな頃から茜のことが好きでいつか告白しようとしてたら、中学校三年の時に茜の方から告白してきた。


 いつもの様に休日に俺の部屋で寛いでいたら遊びにきてた茜が突然


「ねぇ、ハル君。」


「ん、どうした? 」


「真面目な話しだからちゃんと聞いて欲しい。」


 茜が真剣な顔で話し始めたので俺も姿勢を正して茜の話しを聞く。


「……。」


 しかし茜は一向に話そうとせず顔を真っ赤にして目を泳がせていた。

 そんな幼馴染みに俺までドキドキしてしまう。


「ハル君!」


「は、はい!」


 思わず敬語になってしまったがこれはしょうがないと思う、いくら俺達が付き合いも長く気心の知れた仲ではあるとはいえ好きな異性の前である、緊張して敬語にもなる。


「わたし、ハル君のことが好き異性として……だから、その……つ…付き合って欲しい、恋人として。」


 いつか自分から告白しようとしてた相手からの告白される、こんな夢みたいなシチュエーションに俺は思わず飛びはねそうになる。

 告白に対する答えはもちろんイエス、断るとかありえん。

 俺の答えを聞いた茜の嬉しそうな顔は一生忘れない。


 しかしここで問題が。


 自慢じゃないが俺の見た目は陰キャオタク眼鏡であり成績も普通、運動に関していえばそこそこ出来る方ではあるが体育は万年欠席で部活もしていない、学校でのカーストは余裕の底辺である。

 一方 茜はサラサラで艶やかな茶髪にくっきりとした目鼻、シミ一つない綺麗な肌。

 成績優秀で運動も出来るし社交的でスクールカーストトップという完璧美少女である。


 つまり学校での俺と茜には埋めようもない差がある、こんな俺と付き合ってると知られると茜にも迷惑がかかるかもしれない。


 そこで俺は茜に俺達が付き合ってることを隠しておこうと言った。


 それを聞いた茜はさっきの嬉しそうな顔から一変してとても機嫌の悪そうな顔になるが、そのぶん家に帰ったらずっと一緒に居るし休日には沢山デートもしようと俺はなんとか茜を説得した。


 それでもその時に茜が見せた表情はとても悲しそうだった…。



 付き合いはじめたばかりの頃は学校から帰ればどちらかの部屋で過ごし、休みの日は学校の連中にバレないよう少し遠出してデートをした。手を繋ぐ時はドキドキしたし、初めてキスをした時は心臓が爆発するんじゃないかと思った。

 しかし高校生になりすれ違うことが多くなり茜の俺に対する態度も変わる、話し方にトゲがあるしデートもしなくなりお互いの部屋で過ごすことも無くなった。


 何とか仲直りしないとと思い、茜の誕生日が近かったので休日に茜の誕生日プレゼントを買いに出掛けた。

 茜が前に可愛いと言っていたハートのネックレスをアクセサリーショップで見つけた、バイトの給料の一月分程の値段だったが迷わず購入。


 ラッピングをしてもらおうと彼女への誕生日プレゼントだと言うと、店員の女の人に初々しいものを見る感じで見られて恥ずかしかった。


 誕生日プレゼントでネックレスは少し重いだろうか? とか考えたが付き合っているのだから大丈夫だろうと考え直して帰ることに。


 どんなふうに渡そう? 喜んでくれるだろうか?


 そんな浮かれたことを考えながら歩いてると、偶然あるカラオケ店から茜がでてくるのが見えた、茜は不機嫌そうに携帯を操作していた。一瞬声をかけようか悩んでいると俺は信じられないものを目撃した


 茜に続いてクラス一のイケメンでカーストトップ、休み時間によく茜の席の近くで集まってるうちの一人 獅童 直哉(しどう なおや)がカラオケ店からでてきた。しかもみたところ他に人はいない。


 まさか二人きりで…?


 獅童は店からでてくると親しげに茜に何かを話しかけていた、茜は話しながらその間も不機嫌そうにずっと携帯を操作していた。


 なんだこれ?

 どういうことだ?

 浮気されてたのか?

 いつから?


 色々なことを考えながら気づいたら自分の部屋にいた。

 どうやって帰ってきたかは覚えていない、一晩中泣いて過ごした。

 次の日の朝学校に行く準備をしながら前日のあの光景を思い出していた、茜に会うのが嫌だったから早めに登校した。

 携帯に茜からメッセージと着信がきてたが無視をした。


 そこから学校で茜に何か話しかけられたが『そう』『それだけ?』と実に気のない返事を繰り返した。



 今日は茜の誕生日だった、俺は彼女に別れを告げるため、二人で帰ろうと茜を誘った。

 久しぶりに俺から声をかけた、茜がとても嬉しそうな顔をした


 止めろ、なんでそんな顔をするんだよ!


 もう少しで家につく、そんなタイミングで俺は茜に声をかける。


「茜。」


 久しぶりに茜を真っ直ぐ見つめる。

 よくみたら目に隈ができていた、寝不足だろうか?

 茜色の空に照らされた彼女はやっぱりとても綺麗だった、小さな時から好きな幼馴染みで今ではこんな自分と恋人として付き合ってくれている。


 俺はそんな彼女に別れを告げようとしている。


「話しがある、聞いて欲しい。」


「……はい。」


 もしかしたらこれから言われることを察してるのかもしれない。茜がとても小さく寂しそうに見えた。


 それでも言わなければいけない。


 別れよう


 そう彼女に告げようとした瞬間、俺の視界は光に包まれた。その直後。


『おお!ついに召喚に成功した! ようこそ異世界の勇者様!』





 は?



 はあぁぁぁぁぁぁぁっ?!






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