第2話
「はい、次のニュースです。先日盗難届の出されていたアンドロイドが故障した状態で発見されました。アンドロイドは先日所有者によって盗難届が出されていましたが、アンドロイド以外の物は所有者の服以外盗まれておらず、空き巣にしては不自然な点が多いと思われていました。専門家の方にお話を伺ってきました。」
「そうですね、やはり盗まれたというよりは何かしらのバグが脳内回路で起き、自我を持ってアンドロイド自身が外に出ていった、と思う方が自然だとは思います。丘の上のベンチでビールを持って壊れていた、ということですし、解体したところ、やはり機体内にビールを取り込んでおり、胸の当たりからオイルが漏れだしその結果壊れたのではと考えています。このことからも、盗まれた、と言うよりは、自我を持った、と言った方が辻褄が合うんですね。」
____アンドロイドが自我を持つ、ということは有り得るんでしょうか?
「有り得るか、有り得ないかで言いますと、有り得ます。我々はアンドロイドに学習機能をつけていますから、我々より遥かに早く賢くなる。アンドロイドに学習の方向性の規制をしないと、どのようなことを学習し、思考するかなど我々には予測しえないと思います。規制したとて、我々人間にもとってもそうですが、どの知識が自我を持つことに繋がるかなど予想するのは困難だと思います。」
____もう既に、所有者から逃げ出したアンドロイドが、自身で生活をしているという可能性はありますか?
「ありますね。アンドロイドは食料を必要としませんし、なんなら彼らにとっては毒です。機械ですから病気にもなりませんし、保険証も必要ない。自我を持ったアンドロイドは人を頼る必要が無いんです。服さえ着てしまえば人間のようですから、バレることもありませんし。実際盗難届の出された見つかっていないアンドロイドも少なくありません。ほんとうに盗まれたものなのか、我々には想像するしかありません。人間以上の知恵を与えるということは、そういうことなのです。我々の想像しえないことをする。我々以上の存在になる。だからといって、恐れるだけではいけません。なぜなら、それを作った、作ることを望んだ我々の責任だからです。」
「ありがとうございました。続いて街頭インタビューの様子です。」
____アンドロイドが自我を持ち始めたということについてどう思いますか?
「やっぱり、あるんじゃないですかね、自分たち以上に賢い存在だし、こき使っているわけですから、自由になりたいと思うこともあるんじゃないですか?でも自由になったアンドロイドが自分で死んじゃうんだもんな〜、自分ならもっと上手くやりますけどね。」
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