市中お馬さんの刑 パート2

『じゃあ、そろそろ終わりにするか。ラミア市中お馬さんの刑だ。』


 ラミアは俺を下に降ろし、

「おい、お前四つん這いになりなさい。」

「四つん這い!?何を言っている?」


 領主は統治局の人間から市中お馬さんの刑は聞かされていなかったらしい。

 多分恥ずかしくて言えなかったのだろう。


「いいから早く四つん這いになれ。殺されたくないだろう?」

 領主は仕方なく四つん這いになる。


「ばぶ――――!」

 そこに俺は飛び乗った。


 ぱち――――――――ん!

「いた――――――!!!」

 お尻ペンペンして後はいつもと同じ要領だ。




「え!?」

 道行く人々が最初はぎょっと驚いた表情をしている。

 さすが領主だ。領民達にある程度は顔が知れているようだ。


「あうあうあ――!」

 俺はこの行進を注目させる為に雄叫びを叫ぶ。


 くすくす くすくす

「な!何を笑って……」


 ばち――――――――ん!

「いた――――――!!!」

「ばぶぶ―――あうあう!(文句を言うな!)」


 くすくす くすくす

「ぐぬぬぬ!」

 領主は屈辱と悔しさで顔を赤らめている。


 ひそひそ くすくす

 くすくす くすくす

 くすくす ひそひそ


 領主がお馬さんになっているのだ。

 何事かと行進の周りに人だかりができる。


「あうあうあ――!(これから俺がここの領主だ―!)」

 俺は勝利の雄叫びを上げた。


 こうして領地を巡った戦いは幕を下ろした。

 後処理はセバスチャンに任せる事にする。

 重税問題等々きっとうまくやってくれる事だろう。






『なあ武力担当の人材がそろそろ欲しいんだけど何かいい案あるか?』

 俺はセバスチャンに問う。

 これから争いが起こった時、毎回俺が出張るのは面倒だ。


『武力担当って私に何か不満があるのですか?』

 口を尖らせてラミアが言う。


『お前手加減できないだろ。毎回皆殺しとか勘弁だよ。』

『むむむ。』

 武力としてラミアは申し分ないが手加減ができない欠点がある。


『そうですね……傭兵のネットワ―ク、または、冒険者ギルドに当たってみるとか如何でしょう。』

 傭兵かあ。用心棒として金だけのシビアな関係もいいができれば側近になれるような人材が欲しい。

 冒険者ギルド。懐かしい―。前世では俺も所属していたな。


『じゃあピンキリだがまずは冒険者ギルドに探しに行ってみるか。』

『領主が伺う旨を伝えておきましょうか?』

『いやいい。アポなしの方が面白そうだし。』


『じゃあ、ユミルと行ってくる。』

『ユミルだけでございますか?』

『何か問題でも?』


『ご主人様、ユミルは念話ができませんよ。』

 ふ―んと勝ち誇った顔でラミアが言ってきた。


 くそう、そうだった!

 おっぱいに目が眩んでユミルが念話ができない事実を忘れていた。


『じゃあラミア抱っこ!』

 ラミアは嬉しそうに俺を抱きかかえた。

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