第48話
「だって、こーんなかわいい子と一緒に住んでて、何にもしないんだよ?普通にゲイかなって思うじゃん」
けろりと言いながら、薔子は口元についた油を手の甲で拭い、豪快にビールを飲み干した。
かなり酒が強いらしい。
今日は外出しなかったのか、ピンク色のひらひらした部屋着を着ている彼女を横目で見つつ、高遠は小声で呟いた。
「……自分で言うな、自分で」
この言い方からすると、やはり自分と薔子の間には何もなかったのだろう。
推測がほぼ確信に変わり、内心でほっと息をつく。
薔子と一緒に住むようになってから一ヶ月あまりが経つ。
その間に分かったのは、彼女がすぐ脱ぎたがる癖があるということだった。
寝るときは裸だし、酒が入ると余計に脱ぎたがる。
恐らくあの日も、勝手に上がり込んで勝手にベッドに入り、勝手に脱いだのだろう。
本当にはた迷惑な女だ。
高遠が二本目のビールを飲みきったところで、薔子が冷蔵庫から次を取り出そうとしたので、
「もういい」
片手を上げて、高遠は押し留めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます