第48話

「だって、こーんなかわいい子と一緒に住んでて、何にもしないんだよ?普通にゲイかなって思うじゃん」


けろりと言いながら、薔子は口元についた油を手の甲で拭い、豪快にビールを飲み干した。


かなり酒が強いらしい。


今日は外出しなかったのか、ピンク色のひらひらした部屋着を着ている彼女を横目で見つつ、高遠は小声で呟いた。


「……自分で言うな、自分で」


この言い方からすると、やはり自分と薔子の間には何もなかったのだろう。


推測がほぼ確信に変わり、内心でほっと息をつく。


薔子と一緒に住むようになってから一ヶ月あまりが経つ。


その間に分かったのは、彼女がすぐ脱ぎたがる癖があるということだった。


寝るときは裸だし、酒が入ると余計に脱ぎたがる。


恐らくあの日も、勝手に上がり込んで勝手にベッドに入り、勝手に脱いだのだろう。


本当にはた迷惑な女だ。


高遠が二本目のビールを飲みきったところで、薔子が冷蔵庫から次を取り出そうとしたので、


「もういい」


片手を上げて、高遠は押し留めた。

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