第47話
「ねえ、高遠ってやっぱりゲイなの?」
何の気なしに切り出されて、高遠は飲んでいたビールを吹き出した。
むせ返って咳を繰り返し、目の端にうっすら涙が滲む。
「誰がゲイだ誰が。しかも何だ、やっぱりって」
ようやく発言できたときには、薔子はビール片手に買ってきた唐揚げをつまんでいた。
久々の休日である。
朝から何も言わずに出ていく高遠を、眠そうに目をこすりながら玄関先まで見送った薔子だったが、どうやら彼女も公休日だったらしい。
家はぴかぴかに掃除され、たまった洗濯物はきちんと干してアイロンまでかけてある。
「その代わり夕飯は手抜きしたの」と言って、スーパーで買ってきた惣菜や揚げ物を並べ、料理といえば切ったフランスパンにアボガドソースをディップして食べるという、簡単なものだった。
高遠はあまりアボガドソースに興味がなかったが、見た目に比してとてもおいしかった。
アボガドにツナ、トマト、マヨネーズ、オリーブオイルなどがほどよく混ぜてあり、アボガドのまろやかさとトマトの酸味とマヨネーズのこくが調和して、かりっと焼いたフランスパンに塗って食べると絶品だった。
ビールよりワインのほうが合うかもしれない。
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