6日<=余命<=31
@hihumi_coffee
第1話 1日目
「「乾杯!」」
その音頭と共に、私は勝利の美酒を堪能する。
殺し屋生活40年目で私は過去最難関の仕事を達成したのだ。
各々が一杯目に選んだ酒を高く掲げ、グラスをかち合わせる。
今夜の乾杯はステージ上の2人の男に捧げられたものだ。
豪奢なシャンデリアに照されたその場所で乾杯の音頭を取ったのは、
ステージ上の2人の男。
東をまとめ上げる新進気鋭の若頭・安達と
半世紀もの間、西のドンと呼ばれている西郷だ。
東西の巨大暴力団のボスが、いわゆる兄弟の盃というやつを交わしたのだ。
表向きはそうなっている。
しかし!実際はこの私、殺し屋・浅田新(あさだ あらた)の西郷暗殺計画だったのだ。
計画はこうだ!
この業界で半世紀も生き抜いてきた西郷を暗殺するのは容易ではない。
そこで、今回の式典を狙う。
「狸の浅田」と異名を持つ私にできない変装はない。
安達の影武者として変装し、毒を入れた酒を持ち込む。
その酒で兄弟の盃を交わせば、暗殺完了ということだ。
同じ酒を飲む私も毒によって命を落とす。
しかし、我が人生に一片の悔いなし!
絶対に達成できないと言われた暗殺を完遂したのだ。
これ以上の喜びはない!
「ハハハハハ(^◇^)いい夜ですな!我々のこれからの躍進に乾杯!」
我ながら高笑いが止まらない。
西郷の左肩に右腕を回し、酒を喉に流し込む。
べっこう色の酒が喉を焼くが、それすらも心地よい。
今夜このパーティーは私のための宴なのだ!
さあ!さあ!悪魔よ、やつを殺せ!
代償に、私の命を捧げよう!
。。。私もターゲットも生きたまま、パーティーは円満にお開きとなった。
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