酔えない

・道沿いにあるマンションのベランダのほとんどが、花壇を設けていることに気がついた。それは外に見せるように咲いていた。どこの誰とも分からない通行人に対する家主の体面を保つためだけに、彼らは置かれている。


・酒を飲んでも酔えない。まぁ飲みながら談笑するのは楽しいからそれはいいのだけれど、家に帰って一人になった時に必ずその反動が来る。端的に言えば軽く鬱になる(今もこの状態)。昔のことなんかを思い出して死にたくなる。だから、嫌なことを忘れるために酒を飲むと宣う輩とは一生解りあえない。


・今日、某バーガーチェーン店で、店員さんが黙々とゴミの片付けをしていると、ひとりの女性がその店員さんに話しかけていた。どうやら知り合いらしく、笑顔で軽く立話していた。俺はそれを見て少し、なんというか、怖ろしくなった。俺にとってその店員さんは、ついさっきまでただの背景の一部であり、名前のない「店員」だった。しかしその瞬間に名前のある「ひと」になった。このひとにも、友人があって、人間関係があって、人生があるのだということを突きつけられた。その事実はとても重い感覚を与えた。それってやっぱり恐ろしくないですか。俺だけかな


・バイト先の塾長先生が、記録に残せるようになると今この瞬間の経験の価値がわからなくなる、だからこそ今を生きるのが大切だと仰っていた。その通りだと思った。西田幾多郎の哲学を引用したみたいだったけれど、中島敦の『文字禍』でも似たようなことを言っていた気がする。


・俺は昔、少なくとも中学時代までは、反骨精神というか、自分なりのプライドを持っていた。つまり自分の信じる、正しさみたいなものを。それに反するのなら先生や大人の意見にもはっきりと反論していたし、俺の正しさをコケにする奴は殺してやる、なんて気概も表には出さずとも確かにあった。それに比べて今は、どんな人間のことも否定できないし、自分のことを馬鹿にされてもムカつくという感情さえ起こらない。どうしてこんな、つまらない人間になってしまったんだろうな。実は理由はわかっている。2年前、高校2年生だった時に、俺は割とはっきり意識してそれらを捨てた。人間関係を円滑にするために、もう傷つかないために、自分のプライドを不必要だと切り捨てた。その時に、一緒に大事な何かもなくしちゃったんだろうな。遠くにあるものほど綺麗に見えるだけで、それは大事なものでもなんでもない糞みたいなものだったのかもしれないけれど。まぁ有り体に言えばあの時の選択が正しかったのかなんてわかりようもない。


・読み返してみたら文脈もないちぐはぐな文章だった。寝よう。明日からまた月曜日が始まる。


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