怪獣になってしまうその前に
石田空
1話
空をドローンが飛んでいる。最近は登校時間に犬の散歩をする人や、ジョギングをする人よりも、ドローンのほうがよく見るようになった気がする。
それでも今日はまだゴミの日があるから、まだ通りに人が歩いているほうだ。前よりもペットボトルも空き缶も見なくなったはずなのに、それでもゴミが落ちるのはなんでだろう。
私は学校に向かっている中、ゴミ出しに来たおばさんたちが密やかに会話しているのが耳に入った。
「ほら……あそこのホーム、とうとう出たらしいわよ。深度3が」
「本当に怖いわね……深度4になったら、もうどうしようもないんでしょ?」
「あそこの会社がねえ……」
「ほーんとうに」
通り過ぎるとき、おばさんたちをちらりと見た。
多分あの人たちは、深度が全く進んでいない人たち。ホームにいる人たちは深度が進んでいるということで、このところホームを撤去すべきかしないべきかで争っているところだ。
最初はもっと非日常に囚われて、いったいどうしたらいいんだろうと途方に暮れていたのに。いつの間にやら非日常はすっかりとくたびれた庶民的なものになってしまった。
ネットが使えない。ライフラインはかろうじて守られているものの、私たちはこの街を出ることができない。ただ、いつ発症するかもしれないものに脅え、明日のことなんて全く予想もできなくって、必死で耳を塞いで、今日が終わって明日が来るのを祈り続けている。もう三日以上未来のことを考えることなんて、私たちにはできなくなっている。
「あの子」が死んでしまってから、私は全部が終わる日を、待ちわびている。
****
うちの街はN市。
海と山に囲まれていて、春先になれば海の近くでなくても潮の匂いが漂い、冬になれば山颪の風が吹いている町だ。大昔はもうちょっと田畑が広がっていたらしいけれど、高度経済成長の中でベッドタウンへと切り替わり、大都会のO市やK市まで働きに行き、休日だけ人が賑わっているというような街だった。
地方都市で、小さくもないけれど大きくもない。大都会には程遠いけれど田舎でもない。そんな街の日常が崩れたのは、ある夜だった。
私は宿題も終わり、寝る前にスマホでネットサーフィンをしているときだった。いきなり突き上げられたような地鳴りを感じ、びっくりしてベッドに飛び乗ると、布団を深く被った。
最初は地震だと思ったけれど、それにしては変な揺れ方だった。
ドシン、ドシン、ドシン。
音がするたびに、体が飛び上がる。でもそれは、まるで足音みたいなのだ。
「なにあれ……!」
窓の外から悲鳴が聞こえる。どうも外を見ている人がいるらしい。私は布団の中から飛び出して外に出る勇気はなくて、知っている人はいないかとスマホアプリを弄りはじめた。
おしゃべりアプリのうちのクラスのグループを眺めていたら、クラスメイトのひとりが写真を貼り付けているのが見えた。
【怪獣がいる】
そのひと言と一緒に添えられた写真を見て、乾いた笑いが漏れた。そこに出ているのは、どこからどう見ても爬虫類とゴリラを無理矢理合体させた、二足歩行の生き物なのだ。まるで怪獣映画のワンシーンだ。
【なにこれ、つくったの? なんのアプリ?】
【やめいや、今むっちゃ揺れて怖いのに】
一部の子たちは当然ながら、私と同じような反応をしてたものの、一部の子たちが別の写真を流し出した。
【いや、マジモンだと思う。これ、うちの家の前のクレーター】
そう言って流した写真を見て、私はぎょっとしてしまった。
アスファルトが、まるで雨上がりのグラウンドみたいにくっきりと足跡を残している。アスファルトが抜けた部分からは、剥き出しの水道管が顔を覗かせ、そこが割れて噴水が出ているのまで見える。いくらなんでも、こんな写真の加工は素人だと無理じゃないだろうか。
当然ながら、そこからグループの流れは加速した。
【今、私もちょっと見たけど、あれなに?】
【さっきからヘリコプターの音が聞こえる】
【なんか、さっきからキャタピラの音がする】
だんだんと、そこに書き込まれる言葉は不穏になってきた。
そういえば。私も窓の外に耳を傾けた。ブロロロロロ……という、夜間に飛んでいたら間違いなく苦情が殺到しそうな音が聞こえてきたのだ。
いったいなにが起きているんだろう。そう思っていた中で、ひとりがまたアプリに写真を流しはじめた。流してきたのは、どこからどう見ても戦車だった。
【今見てきた。戦車が怪獣と戦ってる。さっきから鼓膜破れそう】
【マジで? どうやって見てきたんだよ】
【天体望遠鏡で見てきた。正直耳痛くってさっきから平衡感覚おかしい】
【あの怪獣なに? どこから来たの?】
【ごめん、ちょっとべっどでよこになってる。あたまうまくまわらない】
そこからもコメントはどんどん流れてきたけれど、だんだん気持ち悪くなってきて、私はとうとうスマホの電源を落としてしまった。
夢だ。外を怪獣が歩いている訳ないし、戦車が怪獣と戦う訳がないし、ヘリコプターが夜間に怪獣を撮影するために飛んでいる訳がない。きっと皆、地震が怖くってデタラメを並べてないとやってられないだけなんだ。だから、寝よう。
寝て起きたら、きっといつもの朝が待っていると思っていたのに。
その日から、私たちの日常は終わってしまったんだ。
****
普段滅多に使われない固定電話が鳴ったのは、家族皆で朝ご飯を食べているときだった。それはうちの学校からで、担任はずいぶんと枯れた声をしていた。
「今日は自宅待機です。これからテレビでケンセイからの発表がありますから、見てくださいね」
そのままガチャンと切られた。ケンセイってなんだろう。牽制?
私はそれをお母さんに伝え、急に休みになってどうしようと暢気に思いながらスマホを何気なく付けて、気が付いた。どのアプリをタップしても、起動しないことに。
「お母さん、スマホ使えない」
「ええ……? 本当だ。お母さんのも使えない」
「なんで? 仕事で使うから困るんだけど」
そう言っていたら、今度は固定電話にお父さん宛に来た。そっちも自宅待機になってしまったらしい。
「昨日の地震のせい? でも県政ってなんで?」
訳がわからないというまま、テレビを付けたら。県庁所在地からの中継ということで記者会見が始まった。
「本日より、N市は保護区として、他の市との行き来ができなくなりました」
なにを言っているのだろうと思った。そこでつらつらと、昨日のニュースの説明がはじまった。
近所にある製薬会社が爆発し、そこで実験動物が逃走、それが原因で町にクレーターができてしまったらしい。復旧用人員は割くし、日常生活が送れるように県も力を貸すというようなことは言っているけれど。
そもそもスマホが使えなくなってしまった時点で、これは私たち閉じ込められたんじゃないかと思う。試しに家のパソコンでネットを繋いでみようとしても駄目で、インターネットに接続できるものは、どこも使えなくなっていた。
ベルリンの壁ができたのは、本当に日常生活を送っていた最中だったらしい。それと一緒で、私たちは唐突に閉じ込められてしまったんだ。
ひとまずお母さんは「流通が止められたらご飯が買えなくなるから、今の内に買いだめに行こう」と言って、休みの私を荷物持ちに連れ出して、ふたりでスーパーに出かけた。最初は自転車を乗っていたけれど、それはすぐに家に戻してこないといけなくなった。
普段使っている通りに、アプリで見た足跡の形のクレーターが、ベコン、ベコンと付いているのだ。一部の道は立入禁止の看板が設置され、工事をしている。
「なにあれ」
「……怪獣が出たってクラスの子が言ってた」
「怪獣って……映画じゃあるまいし」
「でも、あの足跡は、どう説明すればいいの?」
「んー……私たちが閉じ込められたことと、関係あるの?」
あるとは言えない。でも、ないとも言い切れなかった。
スーパーでは皆同じことを思っていたんだろう、たくさんの人が詰めかけていた。でも、いつの間にやら流通はストップがかけられたらしく、スーパーの店長さんらしき人が、スピーカーで必死に「おひとり様、一商品につき、二点までです! 米は一点! ペットボトルは二点までです!」と呼びかけている。店長さんの髪はボロボロで、早朝から一部商品の見直しをしていたらしかった。
「なに言ってるの! それで育ち盛りが足りると思っているの!」
「勝手に町に閉じ込めておいて! なにケチってるんだ!」
「こんなときに商売してるんだじゃない!」
一部のヤジは、あんなにボロボロになっている店長さんには可哀想過ぎる。私とお母さんは顔を見合わせるものの、もし今、目を離した隙に店内が空っぽになってしまったら、今晩から食べるものにだって困るから、帰ることもできなかった。
私たちが震えながらヤジを無視しているとき。
いきなり鋭いホイッスルの音が聞こえた。
「すみません、N駐屯所です!」
厳しい声をかけてきたのは、うちの市に駐屯している自衛官の人たちだった。なんで自衛官が来るんだろう。呆然としていたら、ヤジを飛ばしている人たちを抱えていった。
「なにすんだ、あんたは!?」
「離して! 今晩の食事は!」
その人たちは、どう見ても屈強な自衛官に胸倉を掴まれたり取り押さえられたにもかかわらず、必死に足をばたつかせて抵抗している。あの人たち、根性あるなあ……全然違う感想が頭によぎったとき、その人たちに、なにやら変なものが見えることに気付いた。
ヤジを飛ばしていた人たちには、皆めくれ上がった服の下に、入れ墨みたいな模様が見えるのだ。まるでこれは、魚の鱗だ。
「深度2、確認!」
「すぐに連行しろ!」
自衛隊は私たちになんの説明もなく、ヤジを飛ばした人たちを連れて行ってしまった。そして店長さんになにやら告げると、店長さんはボロボロな様子でさらに顔まで青褪めさせてしまった。
私たちは呆然と、立ち去っていくトラックを見ていた。
あの人たち、いったいどこに行くんだろう。そして私たちが町の外に出られなくなったこととなにか関係があるんだろうか。そこまで考えたものの、スーパーで買い物しないといけないことには変わりない。私たちは人波を必死に掻き分けながら、一週間分の食事を確保することに成功したのだった。
****
ネットは全滅、アプリは使えない、電話は固定電話だけ。テレビはかろうじて県が経営しているチャンネルだけ見ることができた。全国ネットは当然見られない。お父さんのカーラジオでも、地元局以外の番組は聞けなくなっていた。
生まれた頃から当たり前だったものが封印されるのって、結構きついものがある。最初はネットもアプリも使えなくってジタバタしていたけれど、少しずつ慣れていった。
友達と集まって情報交換していく内に、わかったことがある。
N市にある製薬会社の工場が爆発して、それのせいで市民は全員、なにかに感染した可能性があるんだという。それは空気感染で広がるものなのか、微生物なのかウイルスなのかは全然知らないけれど。とにかくそれに感染してしまったら最後、深度というものが上がると大変なことになるらしい。
ホラーだったら、製薬会社が原因でゾンビ化が進んで、街一帯がホーンテッドタウンになったりするけれど、あの製薬会社が爆発した日に、ネットが遮断されて見られなくなってしまったアプリに流れた写真。あれだと怪獣だ。製薬会社から怪獣が出てきたなんて聞いても、いまいちピンと来ない。
「あそこの製薬会社の社宅が近所にあるけど、結構悲惨なことになってる。お前らのせいでN市から出られないんだ、どうしてくれるってさ」
その子の言葉に、私はなんとも言えなくなった。
私たちは高校生で、今のところ市内で不自由することがないけれど。きっと電車通学通勤している人や、実家に里帰りしたい人、上京する予定のある人たちからしてみれば、たまったもんじゃないんだろう。
「今のところ、なあんも影響ないけど、その内影響するようになるのかな?」
それには、誰も答えられなかった。
だって、一般生活を営んでいる人間が、製薬会社に対抗するってなんなんだろう。しかもそれが原因でどうして怪獣が出てきたのかわからないし、自衛官が大量に配置されている現状を打開するって、どうやってって思ってしまう。
非日常は唐突で、私たちはこの状態にどうにか溶け込もうと躍起になっていた。
実際、この状況で不安になってはいけないと思ったのか、国はどうだか知らないけれど県も市も頑張っているみたいだった。
あの爆発した日に出てきたクレーターは、工事の人たちがやってきて、すぐにアスファルトで埋めてくれた。二、三日したら、塞いだ跡だけは消えなかったものの、クレーターがあったというのがわからなくなっていた。
通販や郵便物は、トラックやバイクの替わりにドローンが運搬してくれるようになったし、食料もそれで届くようになった。通販雑誌を定期購読している人たちがいたから、それで注文すれば、日常生活には支障がなかった。
でも、相変わらず自衛官の人たちはガスマスクを付けてうろうろしている。
最初は違和感があって、非日常に放り出された気がして心細かったけれど、いつしかそれも日常として溶け込んでしまっていた。
そんな中、クラスでちっとも来ない子が出てくるようになっていった。
「あの製薬会社の社宅、あっちこっちからゴミを捨てられたりして、悲惨なことになってるんだってさ。さすがに自衛官の人たちがうろついているから、乱暴なことはしてないけど、陰湿なことはずっと繰り返されてるって」
「ああ……」
あの爆発の日からちっとも来なくなった子も、その問題の会社の社宅に住んでいる内のひとりだった。
学校の先生は薄情にも、「この分だと彼女に単位はあげられない!」と怒っている。爆発の日から日常に戻れている子はいいけれど、彼女はあれからちっとも戻れないでいるから、もうちょっとまけてあげたらいいのに。そうは思っても先生はまける気はないらしい。冷たい。
「あのう……彼女は成績がいいから、せめてプリントやって、まけてもらうってことはできないでしょうか……?」
たまりかねて、私は口出しをしてしまった。
彼女とは幼稚園時代からの幼馴染みだから、彼女自身はなんにも悪いことをしていないのに、勝手に学校に行けなくして、勝手に単位を落とすのはあんまりだと思ったんだ。間違っても正義感ではない。
先生は「んー……」と唸る。あそこは自衛官がうろうろしているからといっても、完全に安全とは言いがたくなっているから、あそこにプリントを持っていくのが嫌なんだろう。
「私、持っていきます」
「えー……じゃあ、お願いします?」
先生の言葉に、私は内心この人最低だな、自分のことしか考えてないとぼんやりと思う。車で出かけていって、ポストにプリントを入れれば済む話なのに、運転免許もない高校生にプリントを押しつけるなんて。
でも。私は彼女のことが心配で、行くしかなかった。
****
小さい頃、製薬会社の社宅の庭で、一緒に遊んでいたことがある。
オシロイバナの種を割って、それを顔に塗りたくって私の親と彼女の親、どちらからも怒られたり。キョウチクトウを竹に見立てて短冊を飾ったところ、「これ猛毒だから!」とキョウチクトウを処分されてしょげたり。
中学こそ学区が違ったものの、高校でまた同じになったから、いつものように遊んでいた、そんな気心の知れる仲だったけれど、ネットもアプリも使えなくなってからは、直接会う以外に連絡手段が途絶えてしまっていた。
私は自転車で社宅まで向かい、だんだん道が煤けていくのに気付いた。人が住んでいるにしては雑草が生い茂り、家の手入れがされていないように見える。
この辺り一帯は、本来だったら流通倉庫で働いている人たちの住んでいる区画だったけれど、N市が閉鎖されてからは、運送は専ら外からドローンで運ばれてくる。ここの人たちも当然ながら仕事がなくなって失業しているはずだ。
それでも治安が悪化しないのは、自衛官が歩き回っているせいだろう。どこから持ってきたのか、ときおり割れた酒瓶からアルコールの匂いがし、それが胃を刺激してくるけれど、プリントを届けるためだ。
やがて、記憶通りに社宅に辿り着いたけれど、そこはひどいものだった。
生卵の腐った臭いがし、記憶の中では白かった壁に、上からスプレーで【人殺し】【マッドサイエンティストの家】【怪物製造研究所】などなど、好き勝手なことが書かれている。近くではその落書きを一生懸命雑巾と洗剤で拭いて、消している人たちを見かけた。
「あの……」
「あら。久し振り!」
あの子のお母さんはすぐ見つかった。ゴム手袋を嵌めて、落書きを消していたのだ。私はペコリと頭を下げる。
「ちょっとうちもゴタゴタしててね。この辺り、かなり治安が悪くなってたけどここまで来るのに大事なかった?」
「大丈夫です。あの……」
「ああ! ちょっと待ってね! ここもちょっとゴタゴタしてたから! うちに上がってプリントを置いていったら、日が暮れない内に帰ったほうがいいわ!」
「はあ……」
いつも朗らかなおばさんが、なにかものすごく慌てているのに、ものすごく違和感を覚えた。
おばさんは、もしかしなくっても、なにか知っているんだろうか。この街で起こっていることを。そうは思ったものの、私も怖いものは嫌だから、お言葉にあやかって早く帰ろうと、階段を昇っていった。
「あの、こんにちは。私」
いつもの要領で、社宅のチャイムを押してから言うと、ドアは薄く開いた。チェーンをかけたままだった。
彼女は幼馴染みで、私と顔を合わせたらいつも「こんにちは!」と言いながらすぐに開けてくれるのに、これはいったいどういうことだろうと、緊張が走る。
「……なに?」
久々に見た彼女の目は、ギョロリとしていた。同い年のはずなのに、なにかげっそりとやつれているし、何故か老け込んでいるようにも見える。黒々とした髪だったはずなのに、光の加減なのかストレスなのか、ちらちらと白いものが見える。
「プリント……先生が、そろそろ学校に来ないと出席日数がって言っているけど……」
「……ほんっとうにあの先生、自分のことしか考えてない。まあ、いいや。プリントありがとう。でも本当に、もうここに来ないほうがいいよ? 次は先生が車で来るべきだよ」
そう言って、チェーンを付けたまま、プリントを催促するので、私は慌てて鞄からプリントを差し出した。それに彼女は「分厚っ!」と叫んで、手を振った。
「ありがとう」
その言い方に、私はほっとした。
それからも、社宅の人たちに「日が落ちない内に帰ったほうがいい」と口々に言われながら、私は自転車を漕いでいた。
もう戦車以外で、車なんてほとんど見ない。流通だって全部ドローン頼みだからトラックは通らないし、N市内は自転車で行き来したほうがまだ早いから、通勤も自転車に切り替えている人が多いから。
自転車の人波に乗りながら、私は少しだけ考えた。
どうして、学校に来なくなったのか、聞いてなかったな。それにあの子が珍しく「自分のことしか考えてない」と先生を責めていた。いや、あの先生がおかしいのはいつものことだけれど、私の知っている彼女は、間違っているからとはいっても一方的にこき下ろすような物言いなんてほとんどしないから。
そういえば。私はあちこちの家を見回す。
自衛官の人たちが見て回っているとは言っていたけれど、どうしてこんなに人がいなくなっているんだろう。運搬業の人たちは職があぶれてしまった以上、ハローワークに通わないといけないんだろうけれど、それを抜きにしても人が少なくなっているような気がする。
あの閉じ込められた日に、スーパーで自衛官の人に連れ去れていった人たちみたいに、誰かがどこかに連れ去られているんだろうか。
……ぞっとした。
ただでさえ、閉じ込められているのに。これ以上怖いことがあったらどうしよう。
私は悪寒を振り払うように、必死でペダルに力を入れて漕いだ。うちのマンションはもうすぐだ。うちのマンションの辺りはあまり人通りが変わっておらず、普通に帰ってくる人たちの波を見ながら、心底ほっと息を吐いたんだ。
****
あの子の机は、だんだんだんだん落書きされるようになっていった。
【マッドサイエンティスト】【破滅の王】【お前らのせいで閉じ込められた】
ばっかみたい。と思う。
あの子は製薬会社の社宅に住んでいるだけで、よくわからない薬なんてつくっていない。
それに、その落書きをした子は先生に見つかるとどこかに連れて行かれて、あの子と同じく学校に来なくなっていく。
最初はただ、生徒指導室に連行されたのかなくらいにしか思っていなかった欠席の机が、だんだんと増えてきた。でも皆、怖くて聞くことはできなかった。
どうして、学校に来ない子が増えてきているのと。
私はあの子の家に通うようになったけれど、相変わらず落書きはされても、社宅の人たちで掃除されて綺麗にされてしまうため、治安はこれ以上悪くはならなかった。
最初はチェーンをつけて入れてくれなかった彼女も、私が毎日来るのに根負けしたのか、だんだん家に上げてくれるようになった。
でも。家に入って気が付いた。
前に来たときはなかったはずのファミリーサイズの細くて小さな仏壇が置かれて、そこに線香が付けられていることに。
「お父さん、製薬工場の事故で死んだの。研究職だったから」
彼女は淡々と言った。あの爆発事故から、私たちは市に閉じ込められて外に出られなくなったんだった。彼女は続ける。
「元々は認知症の治療薬をつくる研究をしていたんだってさ。認知症っていうのは、脳にある海馬……理性を司っている部分なんだけど……そこがどんどん縮小していくことで、理性を抑えきれなくなって発症するんだって。だから海馬を治す薬だったんだけど……」
それがどうして爆発して事故が起こったのかわからず、私はそれをポカンとして聞いていた。彼女は、線香の火を消し、ゆらゆらと線香の煙だけが昇るのを眺めていた。
「理性っていうのは、体にも効果があるんだよ。火事場の馬鹿力って言葉があるけど、人は本来、理性で筋力にセーブをかけている。そうしなかったら、筋肉が必要以上に仕事して、ブチブチと切れちゃうから。薬の研究の中でね、海馬を治す薬の中で、逆に海馬を弱らせてしまう薬ができてしまったみたい。最初は誰も、そのことに気付かなかったの……あの爆発事故が起こるまでは」
私はそこで驚いて彼女を見た。彼女は仏壇に手を合わせている。その背中は小刻みに震えている。どうして彼女がこのことを知っているんだろう。どうして彼女は製薬会社で開発されていた薬のことに詳しいんだろう。そう疑問は出てきても、それよりも話の詳細が知りたかった。
「……最初は海馬の働きが弱くなったから、この薬の濃度じゃ駄目なんだくらいの扱いだった。そのままマウスを放置していたら、そのマウスに鱗が出てきているのが見つかったの。驚いて調べてみたら、それは爬虫類のものだった。いくらなんでもおかしいでしょう? だから本当だったら処分するはずだったマウスを処分せずに、そのまま経過観察を行う選択をした……でもそれが間違いだったの。だんだんだんだん、マウスは大きくなっていった。そして……あの日に人の手に負える大きさじゃなくなって……爆発事故が起こった」
それに私は目を剥いた。
あのときの震動。明らかに足音からは外れている揺れ。あれを起こした怪獣は、認知症の治療薬実験のマウスが大きくなったものだなんて、誰が信じるって言うの。
彼女は吐き出す。
「……うちの市に、自衛隊の駐屯所がなかったらどうなってたの。たまたま演習中で、戦車が来ていたからよかったけど、もし戦車がなかったら、絶対にN市だけじゃ済まなかった。お父さんは街が無茶苦茶になった責任を感じて、遺書を残して自殺しちゃうし、私みたいなのじゃ手に負えないことまで書いていったんだから、本当にどうしたらいいのって思ってる……」
「……ちょっと待って。とんでもないことって……おばさんは知ってるの? あなたしか知らないの?」
「……お母さん、掃除するので夢中で、遺書は読んでない。掃除に逃げてなかったら、お母さんだってショックで自殺しちゃうかもしれないって思ったら、こんなもの読ませられない……」
彼女はポロポロと泣いていた。
「……薬は、空気感染なんだって。マウスが怪獣になるまでの段階が書かれてた」
耳を塞げばいいのに、このままプリントを置いて帰ればいいのに。私は腰が抜けてしまって立ち上がることもできず、ただ彼女を凝視しながら、話を聞くことしかできなかった。
「深度1、理性より感情で行動するようになる。具体的には、信号を待つのが面倒臭くって、車が来ていても信号無視して歩き出すようになる。我慢ができなくなる……更年期の年寄りにありがちな行動だって」
それは、たしかに見たことがある気がする。
「深度2、鱗が肌に出てくる。最初はそれは入れ墨みたいに模様みたいなものだけれど、だんだんそれは皮膚を割って硬化してくる」
前に自衛官に連れて行かれた、入れ墨を入れたような人たちが頭に浮かんだ。まさか……と思う。ずっと自衛隊があちこちを見て回っているのって。私は、だんだん口の中が乾いてきたことに気付いた。
彼女の口調も、だんだんと固くなってくる。
「深度3……ここからは、だんだん信じられなくなってくるかもしれないけど。体が、大きくなるの。最初はぱっと見わからない。実験していたマウスだって、餌を与え過ぎて肥えたのかもしれないと思って、最初は放置されていたらしいから。でも、その大きさが掌を越えたら? 猫ほどの大きさになったら? びっくりしてどうして大きくなったのか調べるでしょう?」
まさか……と思う。
頭が追いつかない。あの夜、ドシンドシンと足音を立てていたもの。クレーターのような足跡を残していったもの。戦車が来て、戦っていたもの……。
彼女は唇をきつく噛むと、絞り出すようにして声を上げる。
「深度4になったら……もう、自衛隊が出動しなかったら、手に負えない。あのときの騒動覚えてるでしょう? 海馬を刺激して、最終的に怪獣にしてしまう薬……。しかも、これは製薬会社が爆発した際に気化してしまって、市内に蔓延してしまったの。もう、誰がいつ、怪獣になるのかなんてわからなくなったの。だから、私たちは閉じ込められているの……他の市にまで怪獣が出たらどうなるのか……万が一東京で怪獣が大暴れしてしまったらどうなるのかなんて……もうわからないじゃない」
「……待って」
私は震える声で、彼女を制止した。
あの日の出来事を覚えている以上、彼女の言葉が嘘だとは思えない。でも、ひとつだけ気付いてしまった。
どうして、彼女のお父さんが自殺してしまったのか。
私だって親戚のお葬式やお通夜に参加したことくらいはある。そのときに、骨壺に骨を入れたことだってある。でも。まだ四十九日だって終わってないだろうに、この仏壇にはそれらしいものが供えられていない。
……よくよく考えれば、おかしい話なんだ。学校から離れている子も、学校に近い子も、一斉に怪獣やクレーターの写真を撮っていた。
「あのときの怪獣って……自衛隊が戦っていた怪獣って……本当に、一体だけだったの?」
彼女は答えてくれなかった。
「N市はネット接続も切られて、外部に情報を流すことなんてできない。マスコミもわざわざ取材に来ないくらいなんだから、よっぽどまずいことが言われているんだと思う」
替わりに彼女はそんなことを言った。
そういえば、天災が起こったら大概取材に来るはずのマスコミが、あの夜にヘリコプターを回して以降、全く来ない。この町をうろついているガスマスクをした自衛官が、ときどき人を捕縛して連れて行っていることを思い出した。その人たちが、肌に鱗を浮かせていたことも。だんだんと、口の奥が苦酸っぱく感じてきた。
私は帰ろうと立ち上がったとき、彼女が言った。
「ねえ、お願いだから」
私はのろのろと、彼女に振り返る。
「怪獣に、ならないでね。自分が自分じゃなくなっちゃうって……なんかたがが外れてるって思ったら、教えてね」
「……そんな感覚、わかんないよ」
今、叫びたくなっているのに、叫ぶ声が出てこない。きっと、今私が叫び出したら、間違いなく自衛官がやってくるんだろうけれど、たがが外れて叫びだしたくなるには、私は勇気が足りなかった。
彼女に手を振り、自転車に跨がって家へと帰っていく。
シャコシャコと自転車を漕いでいたら、またも捕まった人たちが暴れているのが見えた。
「離せ! 離してくれ……!」
必死でもがいて、足をばたつかせて、とうとう自衛官の腕に噛みついても、自衛官は頑なにその人を離さない。そういう訓練を受けているのか、それとも腕になにか仕込んでいるのかは、私からだとわからなかった。
人が、怪獣になってしまう。理性のたがが外れたら、人は人でなくなってしまう。
それはあくまで、彼女のお父さんの遺書の言葉であり、もしかしたら他の実験と混ざってしまった間違った実験結果だったのかもしれないし、怪獣が出たなんて言ってもっと危ない実験結果を誤魔化したのかもしれない。
人は怪獣になんかならない。そう思い込もうとしても、私は上手く自分を納得させることができなかった。
私は通り過ぎて、車に押し込まれた人を通り過ぎていった。
スーパーでヤジを飛ばしていた人たちも、クラスで来なくなった子たちも、あの人も。いったいどこに行くんだろう。怖くって、それ以上のことは考えられなかった。
****
「今日、お母さんのパート先の人にね、不幸があったの」
この状態でも、家族は必死に日常を維持しようとしていた。たしかに電気は通っている。ガスも水道も使える。街から一歩も出られないことを除けば、最低限のライフラインは保たれているから、N市ひとつを消失させようなんてことは、国も思っていないらしい。
お母さんは缶詰と家庭菜園の野菜で器用に三品も品をつくり、通販で買ったお米を炊飯器で炊いた。
「信号もない場所を横断しようとしてね、轢かれたの。最近自動車事故なんて減ったのに、本当に不幸な事故」
それに、私は喉がヒュンとなった。
あの子が言っていた、深度1だ。それは老化と共にどんどん自己中になっていく年寄りとおんなじ。お父さんは言う。
「こんなときだからこそ、普通に生活しないといけないのにな」
「本当にね。いつかは閉鎖も解けるんでしょうし。だってそうじゃなかったら、わざわざ自衛隊を派遣させないし」
そういうふたりの話を聞きながら、私はなんとかもぐもぐご飯を食べていた。砂を噛んだ味しか、しなかったけど。
閉鎖が解けるのっていつだろう。私たちが全員死んでから? もう怪獣になる人がいなくなってから? いつかなんて、わからないよ。
メールもアプリも使えなくなり、直接会う以外で生活ができなくなった。
学校の連絡網も、アプリで一斉送信じゃなくって、電話での数珠繋ぎに変わっていった。個人情報保護法だって、こんな閉鎖環境では機能しないし、そもそも個人情報保護もなにも、ネットで全世界に公開できないから、意味がないらしい。
お父さんもお母さんも案外普通に生活しているのは、どちらもスマホもインターネットもなかった時代を知っているせいだ。経験していたら、案外そんな生活でも落ち着けるらしい。生まれたときから存在していたものが使えないのは、私からしてみたらタイムスリップと変わらないのに。
私は電話で今週の学校の予定を聞いている中、私よりひとつ前の出席番号の子が言った。
「あのさあ」
「なに?」
「……クラスの数、減ったよね」
「そうだね」
その子は不安らしい。私とは大して仲良くないけれど、友達グループに愚痴をこぼすこともできないんだろう。私の友達の中では、まだ自衛官にさらわれる子はいないけれど、だんだん自衛官に連行される姿を目撃されるようになってきたんだから。
次は自分かもしれない。次は友達かもしれない。私みたいに深度か上がったら怪獣になるって知っているのは、私とあの子以外にはいなくとも、なにかあるというのは、いい加減皆気付きつつある。
その子は言った。
「……私の隣の席の子。この間自衛官に連れて行かれた。あのさあ、本当に製薬会社は、なにも知らないんだよね? あなた、製薬会社の社宅の子と、仲がいいんでしょ? 本当になにも聞いてないの?」
電話の向こうの声はくぐもっていた。きっと、恐怖で震えているんだ。
私は自分の手の甲を見た。鱗は出ていない。深度1は誤魔化せても、深度2だったら、誤魔化すのが難しくなる。深度3になったら、もう言い逃れができなくなる。
私は手の甲を一度だけきゅっとつねったあと、答えた。
「……なにも聞いてないよ。帰ってくるといいよね。本当に」
怪獣になってしまうから、連れて行かれたのかもしれない。連れて行かれた人たちは、そのまま殺されるんだろうか。それとも、怪獣になってしまう症状を改善するために、解剖でもされてしまうんだろうか。どちらにしても、私たちはどうすることもできない。
どうしたらいいんだろう。怖い怖い。助けて。そう叫んだとしても、その声はN市を越えることはできない。私は電話を切ったあとも、喉を押さえて、窓の外を見るだけだった。
夜空の星の散らばりようだけは、閉鎖される前となんら変わりはしないのに。
そんな中。窓になにかが投げ込まれるのに気付いた。丸まったティッシュペーパーだ。私はびっくりして窓を開けると、下にはあの子がいた。
あの子が私を見上げていた。
びっくりして、私はお母さんに「ちょっと外に出る」と言って、突っかけを履いて出て行った。
「どうしたの」
「お別れを言いに来たの」
「お別れって……」
「出ちゃった。格好付けて帰ってもらったのにね」
そう言って彼女は、自分の手の甲を見せてきて、私はぎょっとして彼女を見た。
それはどう説明しても言い逃れができないほどに、びっしりと鱗が出ていたのだ。それはちょうど、とかげの皮膚を思わせた。
「どうして……」
「……お父さんの娘だからじゃないかな。お父さんは、自衛隊に殺されたから。お母さんは信じてないけど、多分あれは、お父さんだったんだ」
もう、かける言葉が出なかった。
あのクレーターをつくった怪獣が、あの戦車に攻撃されていた怪獣が、この子のお父さんだったなんて。彼女は何故か、すっきりとしていた。
「多分、私は自衛隊に殺されるから、殺される前に、逃げられるところまで逃げようと思ったの。お母さんにはお別れの手紙を書いてきた」
「な、なんで……だって、まだわからないんでしょ!? あの怪獣が、おじさんだった可能性は……!」
「お母さんはきっとわかったよ。私だってわかったんだからさ。それに、もう殺されるとわかったら、やりたいことをやっちゃったほうがいいって思ったんだ」
「……やりたかったことって、なに……?」
「ねえ、私。あなたのことが好きだった」
私は、言われたことに、どう反応すればいいのかわからなかった。
幼馴染みの子に、そう言われて、どう返すのが正しいんだろう。私の素っ頓狂な顔に、彼女は笑っただけだった。
「それでいいんだよ。ねえ、お願い。あなただけは絶対に、怪獣にはならないでね。私はやりたいことがあるから、それをやるだけやって殺されるけど、私にはもうできないからさあ。早寝早起きして、普通に生きて、普通に家族持って、普通に死んでね……」
彼女が手を振る。私は首を振った。
「ちょっと待ってよ……唐突過ぎて、全部飲み込めないよ」
「いいんだよ。それで。じゃあね」
そう言って彼女は走って行った。そこで私は気付いてしまった。
彼女は、ここまで服がパンパンになるほど、太ってなかったはずだ。Tシャツは何故か盛り上がって見えるし、スカートから伸びる足が太い。それに。だんだん、足が鱗に覆われる。服がメリメリと音を立てて破れていく。
身長は、一歩進むごとに伸びる。足音が大きくなる。だんだん、立っていることができないほどに、地響きが鳴る。私は、ぺたんと座り込んで、彼女を見ていた。
彼女は、もう人間の皮膚が完全に見えなくなり、体は鱗で包まれ、二本脚と尻尾で、ドシンドシンと歩く、怪獣になっていた。もう。私の知っている彼女は、どこにもいなくなってしまっていた。
彼女は少しだけ振り返った。丸々くるくるした目だけは、彼女の面影を残しているようだった。やがて、ドローンがすごい勢いで飛んできた。
【K町3丁目、深度4被験者発見、ただちに急行せよ、ただちに急行せよ】
大きなサイレンが鳴り響き、やがて、地面をキャタピラが割る音が続く。
【そこの民間人、ただちに家に帰りなさい。繰り返す。そこの民間人、ただちに家に帰りなさい……!】
私が腰を抜かしている間に、戦車が通り過ぎていき、その次にやって来た小型トラックがやってきて、降りてきた女性自衛官が私を運んでいった。
「大丈夫? 怖かったわね、もう大丈夫よ」
彼女は、私が怪獣と遭遇したから、怖がって腰を抜かしていると思ったらしい。私の腕には鱗もないから、怪獣になりようがないと判断したらしい。
違うの。友達が怪獣になったから、驚いただけで。
「怪獣は……どうなるんですか?」
「大丈夫よ、ちゃんと処分するからね」
私は、トラックの上から外を見た。
怪獣は映画みたいに、火は出せない。ビームも出せない。ただ大きな尻尾と足で地鳴りを起こして、ときどき太い腕で電柱を引っこ抜いて、戦車に投げることしかできなかった。戦車は小刻みに動きながら、怪獣に大砲を撃っている。
私は、呆然と彼女のことを見ていた。
怪獣になってしまった人たちは、皆好きな風に生きていた。
彼女の家に通っていたことが、唐突に頭によぎった。彼女は不満を体いっぱいに溜め込んで、今にも爆発しそうになっていた。だからこそ、彼女は今、死ぬ気で戦車と戦っている。
きっと、今の彼女に憧れることはいけないことだ。怪獣になってしまう因子があるからこそ、私たちはこの町に閉じ込められているのだから。
怪獣になりたくない。でも、いつかはなりたくなくっても、なってしまうのかもしれない。そのときは、彼女のように潔く戦いを挑んで、それから殺されることはできるんだろうか。
私は彼女が戦っているのを、大砲の玉が当たって痛がっているのを、涙を溜めて見上げていた。
<了>
怪獣になってしまうその前に 石田空 @soraisida
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