短い中でのどんでん返し、面白かったです。唯さんの短編読むの、そう言えばこれが初めてだったかも～♪
このお話ではお子さんがまだ小さいから、母親のモノローグだけで済ませられるけど、もっと大きくなってきて、「お母さんのせいで！！」なんてシチュエーション入れたらドロドロに……💦
母娘の愛憎は掘り下げるとどこまででも掘れそうで怖いですが、そういう後味の悪さもなく、さらりと読めました(•ө•)♡

悩んでつらくて、肩身が狭くて、どちらかといえばみじめな日々のはずなのに、どうして「幸せ」なの…？

…からの、

見えない鎖。

まさかそうなるとは思いませんでした。地球の海のたとえがすごく秀逸でした。いやまさに、唯さまのお話はいつも「深海」までを描いているから、表面的でなく心をえぐられる。

…私も、たとえ子どもがいてもまったくママ友づきあいなんてできる気がしないし、絶対似たような、こそこそ逃げる母娘みたいになったと思う。それですごく共感して一話目を読んだけど、この見えない鎖は…どうなんだろう。もし自分だったらその境地になるのかは分からないけど、でも…。

自分で全部管理したい、みたいな気持ちを、愛情というような名前で呼んでしまうのは、あると思う。そう呼びたいしね。何か。

ここのところの欺瞞に鋭く切り込んだ素晴らしい作品と思います。
公園での「幸せだな」の時、そんな些細な違和感は普通そのまま見逃してしまうところを、見逃さず、更に真相までたどりつける人はなかなかいないと思う。カウンセリングとかで「その時どう思いましたか？それはどうしてでしょうか？」とかあらためて問われないと、スルーしてしまう。
ここのところの、見逃されてしまう部分をこんな風に描けるのはすごい才能だと思います！！
女流作家の小説を読んでいるようでした！！
（なんか、いつも、あんまり素晴らしいあまりに、どこの評論家だよみたいな感想になってしまってすみません！！）

その時々に気持ちがいっぱいいっぱいだと、自分の隠された本音には気づかない、そんなことを改めて認識させられるようなお話でした。

でも結局は、自分の子どもがほんとうに可愛いんですよね。

その可愛い子供を世間から守るため、自分の傍に置いておくためには鎖でつないで腕の中に閉じ込めるのがいちばんかもしれないけれど、それは本当に子どものためになるのか、いや、ならんよな。

そんな親心で、ハラハラしながら子供の手を少しづつ離していくお母さんの気持ちに共感できるのです。

……そうして親が唇噛んで子どもの独り立ちを願い手を次第に離していくと、思春期真っ最中の子どもから「愛が足りない」などと言われて「どないせいっちゅうねん！」と(ﾟωﾟ)

作中の母娘は本当の独り立ちまで、まだ少し時間があるようで、お母さんの理性的な愛情に見守られて育つ娘さんの成長が、楽しみに思えました。

……これは安藤様の私小説でしょうか？