『始まりの世界:エデン』

AOI

第1話 『最果の彷徨いの世界』

アオイは

一本道の並木道を歩き続けていた

歩いても 歩いても

微かに光り漂うオーラが

1メートル先を照らすだけで

何も道しるべはなく・・ただ

終わりのない世界が 広がっていることは 

理解できた・・・


「この世界はとても不気味ね・・

まるで生きた心地が しないわ・・

人の存在が 消えてしまいそうな

無機質なオーラが漂っている・・


早くラックを見つけないと

大変な事になってしまうわ!!!


ラック!!!

どこにいるのーーーー!!!

私の声が聞こえたら 返事をして!!!

ラック!!!!!!!!!」


しかしアオイの声は空しく響くだけで・・

闇が声を遮り 小さい波紋を残すだけであった


道は一本道であり

暗黒の闇の世界が広がっており

視野は閉ざされ 後戻りができない・・

しかも進む事を 少しでも躊躇すると

闇の世界に飲み込まれて

しまいそうなオーラが漂っている


「とにかく急がなくちゃ!!!

ラックと一緒に必ず元の世界に戻ってみせる!!


サイカ叔父に

負けてなるものですか!!!」


アオイは、自分とラックを

『彷徨う世界』に送り込んだサイカ叔父に対し

激しく憤りを感じていた・・


なぜならここ『最果の彷徨いの世界』は

人が来るべき所ではない。。

「始まりの世界」と「終わりの世界」の狭間

『彷徨いの世界』であったからだ




アオイの家は

代々魔術師の家系であり

不思議な力を持つ一族と言われている


アオイの叔父サイカは

「自分は、偉大な魔術師だ」と豪語していたが


アオイからしてみると

かなり怪しげな詐欺師であり

自意識が高く 最悪最低な叔父である!と軽蔑していた

そんな叔父と同じ血が

自分にも流れている、と思うと


アオイの胸はざわつき

生きる事すら嫌になるのであった


アオイの祖父ライカ卿は

王都貴族であったが

2年前、他界した際

わずかな遺産と屋敷を

母ソルカとサイカ叔父に残した


遺言状によれば屋敷を母に

金貨1000枚の遺産を

母と叔父に半分づつを相続させた

病弱である娘の行く末を案じて

母に屋敷を残したのだが

サイカ叔父は、納得せず

屋敷に住む権利は自分にもあると、

祖父他界後もずっと居付いていたのである


しかも金貨500枚の遺産は

借金返済に充てた為、使い切っており

母の遺産目当てに、病弱の母の後見人となり

使い込んでおり、遺産は残り僅かであった


アオイにとって

母が病弱であり、外に出られず

閉じこもりになっているのは

すべてサイカ叔父のインチキ魔術のせいだ!と

恨み節が耐えなかった


最近では、姪である自分に対しても

怪しげな魔術実験の協力を

しきりに誘ってくるのだが

アオイは、母の二の舞にはならない!と断り続けていた



アオイは、魔術を信じていない訳ではなく

母の病気を治せる方法があるかも!と

独自に研究を続けており、

友人のラックに何度か魔術を試してみるが

期待する成果は一度もあげられていなかった


唯一成功したのは

相手の表情から僅かな感情の起伏が

オーラのように見えて

未来予測ができる!という事くらい


この能力は、大した魔術ではない!と思っていたが、、

これからアオイとラックの運命を左右する技になる事を

アオイは知る由もなかった。



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