てへぺろ・残念な・の時間

「なんだぁ?」


 体が大きくなって視界が高くなる。さらに自分の出す声が低く人間のものとは違うものに変化しているのもわかった。


 手を動かすと地面が揺れるのがわかる。見下ろす先に人間姿のドラゴンがいてそれを踏み潰そうと手を振り下ろすがうまくつかめない。それこそさきほどまでの隆司りゅうじくんと同じ行動をしてしまっている。てへぺろとおどけたほうがいいのだろうかと逡巡したところで足元に痛みが走った。ドラゴンがたすくの様に太くなった足を先ほどと同じ様に殴っていた。でもダメージは先程とは違うはず。そう思っていたとこに体の中から振動する感覚に襲われて思わず大きく息を吐き出す。


 それが炎だったために氷姫ひめかえでが逃げまわるのが見えた。こんな感じでもブレスを吐いてしまうのかと、不便な体になってしまったのかもしれないと残念に思う。


 体が大きくなっただけでドラゴンが2体いようと、小さい人間とは戦いにくいのだ。


 同じ様に人間の姿にならなくては。そうイメージする。すると体はみるみるうちに小さくなっていくのがわかった。反撃の時間だ。決着はもう間近に迫っていた。

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