にも程がある・変身・キングオブ

「強いにも程があんるだろ。ドラゴンってみんなそんな別次元の存在なのかよ」


 これを抑え込んでいた変身後の隆司りゅうじくんがすごい力なのだと同時に思い知らされる。そしてその隆司くんは小さくなったドラゴン相手に距離を詰めきれずにあたふたとしている。


 更に近づいてくるドラゴンに対してどうにかするすべを取らなければならないのだけれど、呼吸がうまく出来ない。肺が正しく機能していない気がする。それくらいドラゴンの拳は重くたすくの体に一撃でダメージを与えていた。


「キングオブストーリーであるドラゴンが登場する物語に勝てるものはそれこそ神話の世界だけ。いくら人が集まったところで敵いっこないだろ」


 ドラゴンの言うことが本当なら神様でもならない限りかなわないらしい。でも、彼の物語だってきっと彼が主人公であれ敵であれ同様の力を持つ存在はいるはずだ。だから希望は捨てられない。それに同等の力を持つ隆司くんだっているのだ。なんとかなるはずだと思うしかない。


 それでも近づいてくるドラゴンに対して恐怖は拭えないし、他のみんなもどうすることも出来ずに立ちすくんでいるだけだ。それは当然の反応のように思える。ダメージを受けていることを言い訳に佑自身立ち向かうことを避けようとしているフシがあって。そのことに自己嫌悪している。


 自分はドラゴンのように強くなれない……。能力をコピーしようにもうまくいかない。ふと、あたふたしている隆司くんが目の端に入りこんできた。

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