ハナクソ・のことならわたしにまかせて・スペシャル

 目くそ鼻くそだ。たすくは容赦なく大砲をぶっ放してくる相手を見て自らの行いを軽蔑する。


 きぐるみ集団から殺意がみなぎっている。それはきっと佑がここにいた仲間を切り裂き、光の粒へと変ええしまったからだ。そうして、だからこそむこうも同じようにこちらを光の粒へと変えたがっている。


 でも、物語と語り部という存在は似ているようで随分と違う。この世界から去るという点では一緒だが、物語には帰る世界がある。でも、語り部はここで生まれ、ここで育った存在だ。この世界を離れて行く宛なんてないはずだ。


 だから一緒ではない。なんて言いたくないけど。こうやって行ったり来たりしている自身のことを考えるとどうしても物語の命が軽く感じてしまう。


 そう考えている間に飛んできた大砲を同じように自分の腕を変化させ、そこからビームを発射して撃ち落とす。


 しかし、もう一度構えているきぐるみ集団をみて、きりがないことに気づき。このままだといつかはやられることを自覚する。


氷姫ひめのことならわたしにまかせて行って!」


 見覚えがる久しぶりの顔にドキッとしてしまう。それが整った顔であればなおさらなのだ。


夏希なつき?みんなそろってなんでこんなところに」


 佑が思わずつぶやいたのを遮るように氷姫を腕の中から奪われた。


「今日がスペシャルな日になるからでしょ。いいから早く飛んでくるあれどうにかしなさい」


 そんなやりとりの間に次の大砲が発射されている。


 佑はそれを撃ち落としながら一番偉そうにしているライオンの元へと向かう。

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