進化・父ちゃん・身柄拘束

 せっかく身柄拘束したのに。そう思わなくはない。そう思ったところでどうしようもない。そんなことを考えている間にも氷姫ひめたちの周りにはきぐるみの集団が囲んでいる。


 視界はどんどんときぐぐるみの毛で覆われていく。毛の色は違えどもふもふ具合はどれも心地よさそうで飛びつきたくなる。でもそれは現実からの逃避に過ぎない。


「父ちゃん。もうだめかも」


 かえでさんも振り回していた包丁を振り回すスペースを確保できずあたりをきぐるみのもふもふに密着されている。永遠とわさんや夏希なつきさんも同様だ。


 攻撃をされるでもなく視界だけ閉ざされていく。もふもふのきぐるみで包まれてる世界。


「氷姫おねえちゃん!」


 隆司りゅうじくんの叫び声は聞こえるけれど姿はもう見えない。ペガサスとの決着はついたのかも確認できない。


 進化し続ける隆司くんのことだから大丈夫だと思うのだけれど、状況が状況だ。心配だ。


 でも、そんな余裕はなく、視界は段々と暗いくなっていきいつしか真っ暗になって息苦しくもなってきた。


 

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