トレーニング・いい意味で・さらば

「トレーニングでどうにかできそうな話じゃないしねぇ。時間もない。もういっそ弾丸がたすくくんってことで話し進めたほうが可能性あるんじゃない?記憶戻ればどうにかなるでしょう?」


 そんなことを言ってしまえばその通りでしかなくて、そうだったら一番いいのはわかるのだけれど。かえでさんみたいに楽観視できない。それにもし違っていたらこっちが全滅する可能性が高く、最悪は全員の死だ。


 巻き込んでしまって申し訳ない気持ちもある。これ以上踏み込まないのが正解なのかもしれない。


「まあ、そうかもしれないな。このまま何もしなくて世界がどうにかなっちまうのを知ったからにはやるしかないしな」


 そうなんだ。最初から選択肢なんてないんだ。いい意味でも悪い意味でもあとには引けない。世界はそれくらい危機に陥っていると言っても言い過ぎではないんだ。


「むこうの戦力を分散させればなんとかなるかもね。相性がいい相手っていうのはいるもんでしょ。そこさえコントロールできればなんとか勝ち目もあるんじゃないかな」


 夏希なつきさんの提案にちょっとだけ納得する。相手の能力は分かった。であれば対策しようがあるというものだ。


「あれが佑って可能性があるなら弾丸ってやつは氷姫ひめに任せてもいいか。飛び道具相手なら防御もしやすいだろう」


 氷で盾さえ作ってしまえばどうにかなるかもしれない。佑さんだというなら全力で説得するだけだ。



「侍は俺がやる。組長は楓。ドラゴンは時間稼ぎだけでいい。夏希と喜美子さんでお願いしたい。まだこの世界とおさらばしたくはないからな。行くしかないよな」


 永遠さんですら自分に言い聞かせるようにしゃべっている。氷姫の体の震えは止められそうになかった。


 

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