ポンコツ・のパン屋さん・グレーゾーン

「おいっ。ポンコツ共っ。先行くぞっ」


 海水浴をしているふたりに対して永遠とわさんが大声を上げる。


「ちょっ。中に人がいるんでしょ。気がついたらどうすんのよ」


 一瞬だけキョトンとした永遠さんだったけれど、すぐになにかに気がついたみたいだ。


「ああ。俺たちがきてるなんてとっくにバレてるだろ。前回も俺たちを簡単に探し当ててたしな。そういう能力がの持ち主がいてもおかしくないし、そうういうやつがいるからこそ、これだけ手薄なんだろ。入り口」


 そう親指で指す秘密基地はたしかに警備とかいうことをまったく考えていない作りだ。それはそうで海の家なんて吹きさらしの場所だ。


「中を覗いても誰もいないみたいだし、ほんとにここが拠点なの?騙されてるんじゃない?」


 そんな気もしてくる。でも永遠さんの表情は自信満々のままだ。


「情報屋のパン屋さんにも確認とったし間違いない。お相撲さんだけが情報源じゃないよ」

「ねえ。先に行くんじゃないの?」

「お前らのことを待ってたんじゃないか。勝手に遊びに行くんじゃない。つとむさんがここにいたらどんなことされるかわかったもんじゃないぞ」


 永遠さんでもそんなことを思うのか。とりあえず全員そろったので進み始めた。


 外からの灯りが届かない中は昼間だろうと薄暗い。人の気配がないのだけれど、本当にここなのかと永遠さんに聞きたいところだがずんずんと進んでしまっていてそんなことは言い出せない。


「グレーゾーンが目印だって言ってたんだ。このあたりのはずなんだが」


 グレーゾーン?


 そんな場所が本当にあるのか。


「あっ。これじゃない。そう書いてあるし」


 秘密基地といいグレーゾーンといい、隠したいのか隠したくないのか理解不能な拠点だった。

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