宅配便・アットホーム・ファッション

「アットホームなところから狼さんにはわからないでしょうけどね。一緒にされたらこっちはいい迷惑なのよ。その力で介護なんてされた日には私達の身体はボロボロになっちゃうのをわかってよ。あんたたちとは身体の作りが違うのよ!」


 女子高生の方がそう騒ぎ立てる。その言葉から逼迫しているのはよくわかるが、内容は頭には入ってこないほど現実離れしている。


「だからってほうっておくなんてできないだろう。お前のお母さんはひとりで寝返りもうてやしないんだからな。お前は宅配便の仕事で手が離せないからせっかく協力してやろうって言うのに。なんだよその態度は」


 彼らは物語の登場人物なのだろうか。だとしたら話の内容には興味もあるがだからといって深彫したい中身ではなさそうだ。


「おい。氷姫ひめあいつらが目立っているうちにこっそり入ろうぜ。幸い同じような見た目のやつらばっかりだし、堂々としてれば平気だろ」

「それはそうですけど。あれほっとくんですか」


 一応聞いてみたけれど、苦い顔をする永遠さんを見てちょっぴり後悔する。そうですよねぇと心のなかで諦めつつも、まあ関わるとろくなことにならなそうなのでゆっくりと隣を遠巻きにしながら通り過ぎる。


 堂々と前を歩く永遠さんのファッションが学校に合っているのを見てあたりの学生たちが少しだけ視線を送ってくるのが少しだけ気になったりもした。

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