おやつ・介護・人間だもの

「とりあえずさっき聞いた学校行ってみようぜ」


 永遠とわさんは走り続けながらそう少しだけ嬉しそうにしながらそう叫び返してきた。氷姫ひめとしても気になっていたのでそれはいいのだけれど、こうやって逃げなければならない身だ。そんなに楽しんでいていいのかとも思う。


 学校らしい大きい建物はいくつかあったが、永遠さんは迷いなく一箇所を目指しているように見えた。まるでおやつに一直線の子どもみたいだ。


「とりあえず。姿でも変えておくか」


 そう気軽に言ってるそばから永遠さんの身体が光り始めると姿が変わっていく。身体の骨格から変わっていくその変身能力はいつみても不思議な気分になる。それも大体は女の子に変身しているのだ。違和感を覚えないほうがどうかしている。


「さっ。もうそろそろつきそうだし。そこで情報を集めようぜ」


 そうかと氷姫は納得する。ただでさえ学校という場所は人が多く集まる場所だ。この物語の人達があふれるこの街では主要人物が集まりやすいだろう。そこで得られる情報は多くある気がしてきた。


「こっちとら人間だものあんたに合わせたら潰れちまうよ!」


 学校が見えてきたと思ったその時だ。校庭からなにか騒がしい声が聞こえてきて、永遠さんが足を止めた。氷姫もそれに続いて止まる。


「そん状況でほっとけっていうのかよ。介護してやらなきゃと思うのが普通だろうっ」


 ポニーテールのセーラー服を来た女子高生と狼の顔をした人型で学ランの男子が言い争っていた。

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