幽霊部員・入院・ペンギン

 建物の中にもおなじようにきぐるみがたくさんいて、コソコソと侵入せざるを得なかった。ペンギンに白くまになんだか寒いところの動物が多いような気がするが奥にいるのはライオンのはずだ。なんで寒いところの動物だらけなのだろう。


「しっかし、お互いひでぇ怪我だなぁ。もしかしたら入院が必要かもしれねぇな」


 きぐるみの中が見えるわけでもないだろうに犬が自分の身体をしげしげと眺めながらそんなことを話し始める。猫は同意するようにその差し出された腕を同じように眺めている。


「ほんとひどいっすよね。骨折れてるかもしれないっすよ」


 そう不躾に差し出された腕を猫が触ってしまったのを見て氷姫ひめは思わず声を上げそうないなったのを必死に堪える。


「痛いって!おまえふざけんなよっ。なにしてくれてんだよ」


 案の定、騒ぎ始めてあたりからきぐるみたちが集まってくる。


「おい。これ以上、人が増えると見つかりそうだから先に進むぞ」


 永遠とわさんがそう耳打ちしてくる。これきぐるみが集まると不意に触りかねないし、そこから侵入がバレることもあるみたいだ。


「幽霊部員のきぐるみとかそのあたりに転がってないかなぁ。転がってたら楽なんだけどな」


 それはそれで話しかけられたりしたらボロがでそうで怖いのであんまり気が進まない。


「先に進みましょう。きっと奥の部屋でしょうし」


 だいたい偉い人の部屋は上の階の奥に決まっているのだ。

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