激レア・アングラ・再結成

「ほら。氷姫ひめ。行くぜ」


 ズカズカと噴水の中に入っていく永遠とわさんは元の姿に光り輝きながら戻り始めているところだった。間近でと見る激レアな変身シーンに氷姫の心はなぜだか踊った。


「あっ。はい。今行きます」


 置いていかれそうだったので、慌ててあとに続く。振り返り、地面に転がっている犬と猫に申し訳無さを感じてペコリと頭を下げる。ふたりの情報を手に入れるためなのだろうが、ここまでする必要があったのかがわからなかったからだ。


「おっと。まだここから下に潜るのかよ。まったくもってアングラな世界だな」


 噴水の中は螺旋状に階段が続いていて、ぽつりぽつりと光源はあるものの薄暗くそこまでは見えそうにはない。


「どうするんですか。この先にふたりの情報があるんですか?」

「まあ、何かしら聞けるのは間違いなんだが。ちょっとだけ降りたら様子見かな」


 理由はわからないが、永遠さんなりの考えがあるらしい。階段の途中で休息でも取るというのだろうか。


「そんな不思議そうな顔をするなもうすぐわかる。こんな訳のわからない世界だ。案内人がいないと迷子になりそうだからな」


 案内人なんてここに現れるというのか。それはとても不自然なことのように思えた。


たすくとのチーム再結成ももうすぐだろうよ」


 今はその言葉だけを信じることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る