博物館・大魔王・おなかいっぱい

「てめえ。まじで舐めてると痛い目合うぞ」


 今度は犬のきぐるみが勢いよく飛び出してきた。永遠とわさんを挟むような形で取り囲むように連携をとりだした。その攻撃の強襲は永遠さんをじわじわと追い詰めていく。


 それに加勢しようにも、永遠さんに当たってしまいそうでうかつに攻撃できない。それに動きが複雑過ぎて踏み込む余地がない。


「天下のキャラクターさんがそんなに怖い言葉使いでいいのかよ。そのかわいい見た目が台無しだぜ」


 そんな中でも永遠さんは余裕の様子で、犬と猫を煽り続ける。もうお腹いっぱいであるだろうその煽りもしっかりと受け止めて憤っている犬と猫は真面目なのかもしれない。あまりの追い詰めっぷりで永遠さんが大魔王に見えてきてしまう。


「それ以上、その減らず口を叩き続けるなら、剥製にして博物館にでも寄贈するぞ」


 犬も負けずに攻め続けるが、永遠さんはそれを紙一重で避け続ける。その動きに犬と猫が焦っているのがわかる。予想以上のその力に戸惑っているのだろう。だって、永遠さんは語り部としての力を一度も使っていないのだ。


「はぁ。そろそろ終わりにしようぜ」


 永遠さんはそう言うと、身体が光り始めて女の子の姿に変身する。そこからは一瞬だった。


 噴水の脇に転がる犬と猫のきぐるみを見て街の人が騒ぐのではないかと心配になりもしたが、気にしている様子はない。それも永遠さんの能力のひとつだと思い出し、永遠さんの能力のた高さを再認識した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る