やる気・はじめての・厳しかった祖父が唯一遺してくれた
前回と同じ。その火球は
「あら。相変わらず特別なのね。なんで効かないのかしら。私の魔法だけ受け付けないわけじゃないわよね。そんなのインチキだわ」
そんなはずはないと思う。ちゃんとダメージを受ける時は受ける。でも、よく考えれば絶体絶命の時はなにかに守られているような気もする。はじめての死を覚悟したあの時から変わらず見守られているというのか。
だれに……、
佑がいくら記憶を遡っても思い出すことはない。やる気の問題ではない。それが物語に由来するものだからだ。
「厳しかった祖父が唯一遺してくれたものだからな」
わざわざ本当のことを教えてやる必要はない。それっぽい事を言っておけばいい。そして、それがそのうち本当のことになればいいなとも思う。
そうすることでしか佑は自身の過去を紡いではいけないのだ。
そうすることが自分という存在を保つために必要なことだと、本能で察知しているのだ。
「なによそれ。ちょっとかっこいいじゃない。でも、まったくの無駄ってわけじゃないんでしょう?」
魔女はこっちのことなんて知らない。再び始まる魔法の攻防戦に佑は少しだけ、後悔していた。
こんなことならばもっとちゃんと設定をねっておけばよかったと。
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