副キャプテン・スカートめくり・ワイルド

「きゃあ」


 氷姫ひめの悲鳴が聞こえてこの世の終わりみたいな感覚に陥る。一緒にいたはずなのになぜ。そう思わずにはいられない。慌ててその声を頼りに氷姫の姿を探す。


 すると、氷姫のスカートが大きくめくり上がっていた。


「へへっ」


 近くにはいたずらが成功してしたり顔の少年がいて、こいつがスカートめくりをしたのは間違いなさそうだ。


「おいっ。きさま」


 少年はたすくの声で驚いたのか逃げ始める。当然だとも言えるがなんでこんなことをしたのか聞き出さないと。


「おいっ。まて!」


 必死に追いかける。ワイルドなのことは悪くはないのかもしれないけれど、氷姫を狙うなんて許すことはできない。


「陸上部の副キャプテンをなめんな」


 そう意気込んだものの追いつけない。おかしい、そう思う始める。


「くそっ」


 置いてきた氷姫が気になり始める。そもそも氷姫から引きはなすためだったのかもしれない。永遠とわはその場に残ってくれているみたいなので、心配はないと思うのだけれど。それでも気になる。


「まてって」


 逃げ足の早い少年を見失いまいと必死だ。


「はっ。おじさんになんか追いつかれないよ!」


 腹立たしいことを言い始めて余計に体力が奪われていくのがわかる。早くしないとこのまま逃げられてしまう。そう思ったときだ。

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