びっくり・ボディブロー・ラブレター
「びっくりしたよ。起きたらだれもいないんだもの」
部屋に着いた時、不満そうに頬を膨らませる
管理人は脚本家がどこかへ連れて行ってしまった。去り際に『ボーイご苦労だった。お礼はまた今度な』そう残していったその姿はなんだか大人っぽくて
「ごめんなさい」
それはそうだろう。夜寝ていたら、ひとりきりにされて突然起きたらだれもいないのだ。不安になるに決まっている。いや、そもそも氷姫が付いてくるなんて想定外だったのだから仕方がないのだけれど。文句を言っても仕方がないのも確かだ。
「な。おいしいものでも食べにこう」
もう朝方だ。ホテルの朝食はビュッフェ形式だと聞いている。隆司くんが食べたいものを好きなだけ食べればいいと思った。でも、それすら反応しない隆司くんの態度がボディブローのように効いてくる。
まさか、こんな試練が最後に待っているとは思わなかった。このまま、帰ったら
初めてラブレターを送った時の事を思い出す。何も返事がなかったあのラブレターはとっくの昔に捨てられてしまっているのだろう。でも、今はまだ目の前に隆司くんがいる。
「どこか行きたいところがあるなら一緒に行くから。な。どこいきたい?」
これまでぴくりともしなかった隆司くんが反応した。ようやく食いついたワードを出せたことに一安心する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます