レンタル・休み時間・ゾンビ

 深夜なんて、隆司りゅうじくんと氷姫ひめをどうすればいいんですか。預かっているのに。


 そう抗議したのだけれど、だったらうちの団員にあずけておけばい。そう言われてしまったからには断りにくくなってしまったのと、なんなら夕飯もごちそうするぞと。そう言われてふたりの嬉しそうな顔が想像できてしまって結局受けることにした。


 レンタルだなぁ。なんてこのことをふたりに話したら隆司くんがなぜか嬉しそうにそう言っていたのが気になる。なんでもレンタル彼女なるものを知って、気になっていたらしい。よく聞けばお母さんの代わりをしてもらおうとしていたらしいのだから、思わず涙腺が緩んでしまった。


 そういえば、そのあたりの事情をつとむさんから聞いたことはなかった。いや、聞いて良いものかどうかわからないから聞けずにいたんだ。


「ゾンビ出る?」


 話の断片から隆司くんはなにかを読み取ったのか、そんなことを言い始める。


「いいや出るのは幽霊だぞ。ゾンビはでない」


 幽霊もゾンビも似たようなものな気がするがどうなのだろうか。どちらも物語の力の具現化ならば、物理攻撃や魔法での攻撃は通用するのだろうか。それとも物語特有の弱点なんかがあったりするのか。


 もし弱点が、物語由来のものならば対応するすべがこの現実世界に存在しない可能性もあるのだけれど。それはどうなのだろうか。


「まあ、なんとかなるんじゃないか」


 のんきに脚本家は休み時間を過ごしている。夜への作戦鍵の時間だったのだけれど。気がつけばただのおやつたいむだ。


「おいしーね」


 気がつけば今日はずっと食べてないかい隆司くん。そう思わないでもないけれど。育ち盛りだ。気にし過ぎも良くないのか。


「とりあえず。目撃した団員を招集しておいたから、聞いてみるといいさ」


 どこまでものんきな人だし人任せななんだなと美味しそうにおやつを頬張る脚本家を眺めていた。

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