ごっこ・衝撃的な・手伝い

「おい!」


 マグマに飲み込まれていく永遠とわを見てられなくて大きな声をたすくは出してしまう。出してから心底心配している自分に気が付き、いつから永遠が仲間だと思っていたのか。疑問が過る。


「あー。大丈夫だろ、こんくらい。なーんてな」


 衝撃的なことに気がつくと後ろにいる永遠に驚いて飛び上がりそうになる。


「な、なんで後ろにいるのよ。さっきまであそこにいたじゃない」


 夏希なつきもおんなじように驚いている。


「なにって俺の能力忘れたのかよ。これくらいのずらしは簡単だろ。あとはこの隙きにぶん殴るだけだ」


 衣装チェンジを済ませた永遠は体のバネを利用して勢いよく飛び出した。襲いかかるマグマを上を駆け抜けて男に拳を突きつける。


「ごっこ遊びはそれくらいにしてもらってもいいですか?まあ、でも溶岩流を避けたのは褒めてあげますよ」


 それでも余裕な言葉を発する男に佑も夏希もそれこそ永遠も驚愕する。


「なんだよ。無敵バリアでも張ってんのかよ」


 文句を言いたくなるのはわかる。物理攻撃が聞かないその立ち振る舞いに苛立ちが高まる。


「手伝いしようか?苦戦してんじゃん」


 そう佑から切り出したのは単に心配だからと言うより、自分で手を出したくなったからだ。


「いや、もうちょい待てって。ようはあれを突き抜ければいんだろ」


 そういった永遠の地面が急に盛り上がる。


「おいっ。永遠!」


 佑の声に反応して永遠が空中へ飛び上がる。その瞬間、地面が割れて針が飛び出してきた。


「次は針地獄で、行きましょうか」


 佑のところまで攻撃がこないのは向こうの情けなのか。それとも正々堂々としたいだけなのか。針は延々と地面を破って飛び出し続ける。永遠はそれをひょいひょい躱しながら隙きを探しているみたいだった。

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