レベルUP・パラパラ漫画・ごめんなさい
「簡単にレベルUP出来るはず無いじゃない。それくらい考えれば分かるでしょ?」
「なに?なんか用?」
サングラスを掛けたあからさまな格好をしている子に睨みつけられた。いや、視線はわからないだけども、圧感じる。背は女性にしては高くモデルみたいにスラッとしている。勉さんが妙なことを言うからアイドルがいるのだという先入観からかどうしたってアイドルにしか見えなくなっている。しかし随分ときつい言い方をしてくる。ストレス多そうな仕事だもんなって勝手に納得してしまう。
「ご、ごめんなさい。何でもないんです」
睨まれて、そのままそこに居続けられるほど心臓は強くない。そそくさとそこから退散する。
さり際、もうひとりの人にぺこりと頭を下げる。背の高いのに比べてひと回りもふた回りも小さい。それはそれでアイドルを感じさせる見た目なのだけれど、どうにも不思議な感じがする。存在感が希薄というか、掴めそうで掴めなさそうな気がしてしまうのだ。パラパラ漫画のキャラクターとでも言うのだろうか。
アニメほど動きが滑らかでなく、絵みたいに静止しているわけでもない。確かに動いているのだけれど、足りない気がする。それがその小さい方の子からも感じるのだ。
彼女もこちらに気づいたようでペコリと頭を下げてくれる。しかしその表情が驚いた表情をしていてそんなに意外なことなのだろうかと疑問に思う。
「ねえ。ちょっとまってよ。今、この娘に挨拶した?」
そう思っていたら背の高い方も驚いた様子で話しかけてきて、挨拶したけれど何が問題なのだろうかとこちらが驚く。普通のことだろうに。
「それがなにか?」
「だったから協力しなさい。語り部かなんかなんでしょ?ちょっと力が必要なの」
何がなんだかわからないけれど、語り部という言葉を出されたからには断ることはできそうになかった。
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