いっしょ・なにか・ガラクタ
あまりに大きな音に全ての音が消えてしまった。弾けた光も目に飛び込んできて全てが白くなる。つまりは外コラの情報がシャットダウンされた。それとも、もう死んでしまっただけなのだろうか。
手足の感覚も見つけられない。動かそうとしても動いている感じがしない。
『やあ。なにか考えているみたいだけど、全部筒抜けだよ』
耳が元に戻ったわけではない。頭に直接届いている感じだ。声に聞き覚えはなく、誰だかはわからない。
『そりゃそうだよね。自分の声なんて覚えていないのが普通だ』
自分の声。これが。だとしたら話しかけているのは自分だというのか。やっぱり死んでしまったのだろうか。
『死んでなんかないよ。物語そのものの僕が簡単に死ぬはずないじゃなかいか。確かに力は少し吹き飛んでしまったけれど、まだ生きてる』
生きているのにも関わらず感覚が何もないのはなぜなのか。声を出そうにも出せないのは相変わらずだ。生きているとは信じられない。
『信じなくてもいいよ。すぐに元の場所に戻るから。でもひとつだけ言っておこうと思って』
自分が自分に何を伝えたいというのだ。
『自分とは言え君は僕から離れた分身みたいなものだから。ちょっとずつ違う存在になっているようだしね。まあ、こっちは物語が進まないと変わることができないのだから当然なんだけど』
最近、ほんとに理解が追いつかない話ばかりされる。
『まあ、誤解なく表現するとしたら、僕は物語の本体で君が分身。いっしょだけど別れてしまった時に道は違えている。だからといって僕自身がどうこうっていうよりただのイメージなんだけど』
わからない。本当になにが言いたいのか分からない。
『まあそこを理解することは重要じゃない。大事なのは君がその世界で何を成すかは僕にとっても重要ということだ。君という存在が大きくなればお大きくなるほど僕の力は増す。それがいかに重要で必要なことだかを理解してほしい。だから今回みたいに簡単に圧倒されるなんてことはよくない。僕の力はこんなものじゃないのだから。いいね。絶対に負けることは許されないんだ。もう一度今回みたいなことがあったらガラクタみたいになる。それは覚えておくといい』
最後の方の言葉は段々と声が遠くなっていくような気がしてよく聞き取れなかった。理解できたのは自分に脅されたということだけ。
次第に感覚が、世界が戻っていくのをが分かる。もう負けられない。その決意だけを胸に残して世界は元に戻る。
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