月が見守るこの夜に。

桜木 耀

はじまり

最近よく不思議な夢を見る。

私はなんの明かりもない真っ暗な夜の空を、自由に飛んでいる。


誰にも干渉されない、痛くもつらくもない、そんな自由な時間を噛み締めるように悠々ゆうゆうと空を飛ぶ。

そうしているうちに、次第しだいに夜の闇に私も包まれて溶けるように消えていく。


あぁ、これで終わるんだ。すべてが。


よかったという安堵あんどの気持ちと、ほんの少しの悲しさが胸に残る、そんな夢。

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