第70話 自分の性格がわからない。

 仕事の方ではアパレル販売をやってまして、そこにはスタッフも働いてまして。

 アパレルはちょうど今年で30年。よく続けたな、というか、ただ他をやったことがないだけで。今までいろんな人と働いてきて、それで今のスタッフが1番やりやすいというか、いい子が揃ってます。

 1人、大学生で心理学を学んでいる子がいまして、その子が学校の課題で複数人の心理テストをとってくるみたいなのがあって、他のスタッフも面白がってやるんです。

 そういう心理テストで細かい診断ができるそうなんですが、やはり心理学を学んでいるので、その人の話口調や仕草なんかでも大まかな性格がわかるみたいで、「〇〇さんは〇〇なので几帳面ですが、〇〇だと思います」とか「〇〇さんは、〇〇なので少し周りに対して気を遣い過ぎちゃいますね」だとか。

 その大体の性格には「暗」と「陽」があるらしく、それは性格の「暗い」「明るい」ではなく、性質で判断できるらしいです。その「暗」と「陽」を分けて、細かい診断をしていくらしい。

 だから性格が明るいのに「暗」の人もいるらしい。


「〇〇さんは、明るいし『陽』に見えるんですけど、こういう言葉違いがあるので『暗』の方だと思います」などなど。


 聞いてると、ふんふんと感心する内容なんです。


「じゃあ、俺は?」


 そう聞くと、そーなんですよ、とその大学生は困った顔をする。


「オノダさんだけ、わかんないんですよ」


 な、な、なんと。




 もう1人、この子はフル出勤スタッフの女の子なんですけど、若いのに物怖じしなくズバズバと言う、話をしていて清々しい子なんです。その子には、


「オノダさんは......読めない」


「なに考えてるか、わからない」




 お、待ってくれ。そんなサイコパスではない。

 もちろん、スタッフに指示をしないわけでもなく、注意しないわけでもなく、嘘で褒めたりするわけでもない。ましてや意味がわかんないことを大声で叫んだりとか奇行があるわけでもありません。


 なんか占いみたいなのをやると、むかしネットでやったのが、なんか王様とか動物とか性格によってなんかのイラストが出てきて、診断が載ってるみたいなものに、僕のだけジョーカーのイラストが出てきたり。字画占いでは『吉凶混合』とか出てくる。内容を読んでも、悪い時もあれは良い時もある的な。「明日の天気は、晴れのち曇りのち雨、ところによっては雪や雷に注意しましょう」的な、じゃあ一体どれよ、みたいな適当な予報のような。


 でも、それはしょうがない。


 自分だってわかんないんだから。


 自分の性格がわからない。だから何考えてるかわからない。上手く表現できない。


 だから、小説を書きたい、に繋がるんだと思っている。自分が考えてる本当の心の部分がわからず、なんか物語にしているうちに内なるなんかがわかってくるんじゃないかなあと勝手に思っているわけで。


 まあ、妻に聞くと、


「ワタシも最初は何考えてるかわかんないって思ってた時もあったけど、アンタは何にも考えてないって最近気がついた」


 と言われた......。


 いやいや、なんか考えてますよ。なにかはわからないけど。

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駄文の駄文〜僕の小説の書き方(執筆活動の独り言) オノダ 竜太朗 @ryuryu0718

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