第53話 芸能人のエッセイ

 僕はよく芸能人のエッセイを読む。


 作家さんのエッセイも読むが、文章力がありすぎて小説を読んでる感じになってしまう。好きな作家のエッセイは勉強のために読むというのが常だ。大好きな村上龍さんのエッセイは、神を拝むような気持ちで読んでしまう。


 ラフな気持ちで読めるのは、芸能人のエッセイが多い。テレビで見ることが多い芸能人の場合、一方通行ではあるが妙に親近感が湧き、読みやすいのだ。たまに「この人、ちゃらんぽらんに見えるけど、こんなこと考えてるんだ」という発見もある。

 ミュージシャンのヒストリーや、芸人の苦労話も好きだ。星野源さんのはハズレがない。読んでいて、フフフと1人で笑ってしまう。陣内孝則さんの『アメージンググレース』というエッセイというか自伝本には感動してしまった。ザ・ロッカーズ時代のおもしろ話から、俳優業に転身後のバンドメンバーとの関係なんか、ちょっと泣いてしまう。


 最近オススメなのは板尾創路さんの『板尾日記』。エッセイというか日記なんですが、本当に毎日分の日記が綴られている。10冊出ているのですが、今3冊目の5月まで読んでいる。


『笑ってはいけない24時』で板尾さんが出てきただけで笑ってしまう。ただのしりとりなのに、繰り出す単語のセンスが絶妙なのだ。最近は俳優業も多く、稀な存在感を放っている。『ケイタイ大喜利』ではエンディングで喋らないという放送事故や、定食屋でエビフライ定食を注文してエビフライのみを残すというエピソードが、よくテレビで言われていて、適当でちょっと変わった人だという印象を持っている人が多いと思います。

 それに、僕が板尾さんと誕生日が同じだからという安易な理由で親近感が湧いてしまうのだ。日記だから、誕生日が近づいてくると読んでてワクワクしてしまう。

 ご本人も素人の僕に評価されたくはないでしょうが、板尾さんはメチャクチャ繊細な人なんではないか、と思わされる。

 ツラツラと日々の出来事を書いているだけの日記なのだが、たまにドキッとする考えさせられる一言で締められている日記があるのだ。


 小説を書いている醍醐味として、僕はキャラ作りが1番楽しい。キャラ作りというのは、チャラチャラした奴が実は暗い過去があったり、いい人そうな人にも裏があったりと、たとえ作品の流れに関係ないとしても裏と表は必要なんだと考えている。

 キャラ作りにおいて、芸能人のエッセイというものは、かなり参考になる。

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