第9話 雨
雨はダルい。
あんまり好きじゃない。
傘さすの面倒だし、パンツの裾は濡れるし、洗濯物は外に干せないし。半濡れの状態で、湿気が多くてイライラしてしまう。荷物を持つのも、いつもより面倒だ。湿気で、汗をかきやすくなる。膝が痛くなる(ジジイか?)
作家さんやアーティストの人って、雨が好き、と言う人が多い気がする。
雨の音や、雨で濡れた風景、暗い空がインスピレーションを掻き立てられるのだろうか。
うちの妻はアーティスト体質ではないが、雨の音が落ち着くのだそうだ。旅行とかだったりすると、子供のことを考えると晴れてる方がいいが、休みで1人になれるんだったら、雨が当たっている窓を眺めてるだけでもいいと言う。
僕には全くわからん。
超インドアなくせに夏が好きだし、旅行へ行けるなら、ハワイやサイパンなんか行きたいし。ハワイへ行っても、別にマリンスポーツを楽しむわけでもない。ビーチやホテルのベランダで、本を読むくらいだ。海に入るのが好きなわけではない。濡れるのがあまり好きではない。でもビーチだとテンションは上がる。
なんか、雨が好き、と言った方が知的な感じがする。海に入らないでビーチで、ヤッホイ、とはしゃいでいるのが好きと言うと、なんだかアホみたいだ。
最近の休みの日、家から一歩も外へでないくせに、晴れてると気持ちいいと思った。
僕と妻の違いは、妻は風景が好きなのだ。まだ子供がいない時に、よく2人で旅行へ出かけたが、やれ24階の景色がイイ部屋だとか、オーシャンビューだとか、そういうので妻は部屋を選んでくるが、僕は、ほう、と思うだけで何も思わない。夜景を見ても、あんまり心が動かない。ホテルに着いたら、早く出掛けたくなってしまう。まるで子供だ。
風景で感動しないというのは、おかしいのか?綺麗な風景と言われても、たしかに綺麗だけどなぁ、と思うくらい。高いところに行けば、怖いなぁ、と思うくらい。感動しないと、サイコなのかなあと不安になる。
だから、小説でも情景を書くのが凄く苦手だ。小学生の頃、漫画家になりたくて、でも風景が描けなくて断念した。悲しい場面で雨を降らせたりするのは、なんともチープで気恥ずかしい。実際僕の書いた『白日の下に晒す』ではラストシーンに雨を降らせてしまったが。
僕は、コメディタッチで、人と人とのすれ違いの可笑しさや、テンポの良い会話が好きだ。だから、そんな小説を書いている。
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