―22― クリティカル
「会いたかったぜぇえええ!!」
それを見ていたモンスターは反撃すべく、体をしならせては攻撃の構えをとる。
このまま攻撃を受ければ、反撃を受けるのは必至。
だから、〈繰糸の指輪〉を使って軽快に回避しつつ、攻撃。
「まったくダメージが入らないや!」
今のままだとダメージが入らずジリ貧になっていき、いずれは敗北する。
ならば、この状況を打破するには新しいスキルが必要だよなぁ!
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SP28を消費して〈クリティカル攻撃発生(物理)LV1〉を獲得しました。
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〈クリティカル攻撃発生(物理)〉とは、その言葉通り物理攻撃をしたとき、まれにクリティカル攻撃が発生するというものだ。
ちなみにクリティカル攻撃というのは、まれに攻撃力が上昇する攻撃のこと。
本来は剣士系統のジョブのために存在するスキルなため、剣士系統のジョブなら、このスキルを獲得するのに、わずか2ポイント支払うのみで手に入れることができる。
対して、俺は錬金術師のため28ポイントも支払う必要があるというわけだ。
「さてと、クリティカル攻撃は発生するかな!」
そう言って、
すると、
この反応、どうやら運良くクリティカルを引いたらしい。
ただし、元の攻撃力が低すぎるせいで、クリティカル攻撃が発生したとしても大したダメージにはなっていないな。
仕方がない。
「〈猛毒液〉」
そう口にして、〈アイテムボックス〉から〈猛毒液〉を取り出し、それを自分の口に含んだ。
「きひっ、毒状態になっちゃった」
毒を含めば、当然その毒が自分の体を苛んでいく。
具体的な効果としては、HPが徐々に削れていき、体も思うように動かなくなるというものだ。
とはいえ、意味もなく毒状態になったわけではない。
「それじゃあ、新しいスキルを獲得しますか」
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SP84を消費して、〈
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猛毒状態のときのみ獲得できるスキル。
その効果は猛毒状態のとき、クリティカル攻撃の威力が倍増するというもの。
そして、獲得するスキルはこれで終わりではない。
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SP98を消費して、〈終焉の
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その効果は、HPが30パーセント以内になったとき、クリティカル攻撃の威力が倍増するというもの。
〈
そして、この二つのスキルの効果は重複するため、二つのスキルが組み合わさることで威力がとんでもなく倍増されるというわけだ。
まぁ、どっちもデメリットがあるのが痛いんだけど。
「きひひっ、そろそろHPが30パーセント切るな」
気がつけば、毒のダメージでHPが30パーセントまで削れていっている。
さて、ここからが本番だ。
HPが0になる前に、クリティカル攻撃が発生すれば倒せるに違いない。
だから、それまでに何度も攻撃をする必要がある。
「さぁ、クリティカル攻撃を引くのと、俺が死ぬのとどっちが先か勝負だ」
クリティカル攻撃を引く確率って、どのくらいだっけ?
確か、3パーセントとかだったような気がする。
「外れ! 外れ! 外れ! 外れ! 外れ! 外れ! 外れ!」
ナイフで切り裂きながら、そう言葉を吐く。
さっきから攻撃してもダメージが全く入っていない。クリティカル攻撃が発生していない証拠だ。
その間も、
そして、何度目かの攻撃にて――。
パリンッ、という大きな音が響いた。
「当たったッッ!」
攻撃を受けた
そして、吹き飛ばされた
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レベル上昇に伴う経験値を獲得しましたが、〈呪いの腕輪〉の影響で、レベル1に固定されました。
SPを獲得しました。
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というメッセージウィンドウが流れる。
どうやら無事討伐に成功したようだ。
◆
「ふぅ」
討伐できたとわかった瞬間、息を大きく吐く。
どうやら、想像以上に体力が限界らしい。
戦っている最中は、テンションが高くなっているせいか、あまり疲れを感じることはないんだが。
「あれ――?」
ガクリ、と体が真横に倒れる。
なるほど、無意識に倒れてしまうほどに限界が来ていたようだ。
まぁ、自分で毒を飲んだことだし、疲労がくるのは当たり前か。
「おい、大丈夫か!?」
ふと、慌てた様子でフィーニャが駆け寄ってきた。
「大丈夫じゃない。このままだと毒で死んでしまう」
「なんだと!? おい、どうすればいいのじゃ!?」
なぜか、フィーニャのほうが慌てふためいている。
まぁ、俺のほうは慌てるだけの体力が残ってないだけなんだが。
「えっと、解毒剤がアイテムボックスに入っていたはず」
とか言いながら、解毒剤をアイテムボックスから取り出す。この解毒剤はフィーニャと協力して作ったものだ。
あっ、うまく手に力が入らない。
そのせいか手から解毒剤を落としてしまった。
「フィーニャ、悪いが飲ませてくれないか」
「お、おうっ、わかったのじゃ」
そう返事をすると、フィーニャは人の姿になり、俺の体を仰向けにする。その際、俺の頭を膝に乗せていた。
その上で、そーっと解毒剤を口の中に運んでくれた。
「これで大丈夫なんじゃろうな!?」
まだ不安を拭えないようでフィーニャはどこか焦っていた。
「多分、大丈夫なはず……」
そう言葉を紡いだと同時、俺の意識は暗転した。
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