―19― 生産
「ユレン殿、申し訳ないが、想像以上にゴタついてしまっている。もう少し待っていていただけないだろうか」
明日には受け取れると言っていたが、なにかあったのだろうか。
「わかりました。また、出直します」
文句を言っても仕方がないだろうし、大人しく引き下がる。
それに、冒険者ギルドにきたのは、なにもお金を受け取るためだけにきたわけではない。モンスターの討伐依頼の確認もかねてきたのだ。
「次はおぬし、なにを狩るのじゃ?」
「そうだな」
モンスターの情報が張られている掲示板を前に、フィーニャと会話をする。
今の俺の実力でギリギリ勝てそうなモンスターがいればいいんだけど。
「あ、これとかいいかもな」
◆
「ほら、背中に乗るとよいぞ」
狐の姿に戻ったフィーニャがそう口にする。
「乗ればいいのか?」
「あぁ、そうだぞ」
そういうことなので、背中に跨がらせてもらう。
おっ、座り心地意外といいな。モフモフした毛並みのおかげでお尻が全く痛くない。
「それじゃ、スピード出すから捕まるんじゃぞ」
「ぶっ」
一瞬で超スピードになる。まずいっ! このままだと振り落とされる。
「ちょ、とまってくれ! 死ぬ!」
「ん?」
フィーニャが足をとめ、減速する。突然、急ブレーキをかけられるのはそれはそれで耐えられず、前方に吹き飛ばされる。
「ふむ、もう少しスピードを落として走ったほうがよかったか?」
「いや、その必要はない」
そう言って、俺は〈操糸の指輪〉から糸を出して、フィーニャにうまくくっつける。
これでうまく固定すれば、振り落とされないはずだ。
「それじゃあ、行くぞ」
そう言って、フィーニャはスピードをだす。
うっ、あまりの揺れで酔ってしまいそうだが、これなら振り落とされることはないな。
◆
「まぁ、確かに馬車を使うよりはずっと早く着くな」
「ふふん、そうだろう」
幼女に戻ったフィーニャが鼻を高くする。
なんか腹が立つので、軽くデコピンしてやったら「ふぎゃ!」と、奇声をあげていた。
「それで、ここに例のモンスターがいるのか?」
「ギルドの情報が正しければな」
現在いる場所は山の山頂付近。
火口が近い、この辺りは木々が生えていないため、身を隠せる場所があまりないため、慎重に進む必要がある。
「いたな」
視線のはるか先。
今回の標的のモンスターが居座っていた。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
〈
LV:532
鋼の鱗を持つ巨大なドラゴン。
その鱗はあらゆる攻撃をはじくことができる。
翼が劣化しており、空を飛ぶことはできない。
△△△△△△△△△△△△△△△
「フィーニャ、このモンスターの臭いを覚えることができるか?」
「可能だが?」
「そうか。それじゃ、一旦引くぞ」
「む? なんだ戦わないのか?」
「この状態で戦っても勝つことは難しいからな」
「なんだ? どんなに無謀でも挑むのがおぬしじゃないのか?」
「俺は勝てる見込みがない戦いはしない主義だぞ」
「むっ、おぬしの言葉とは思えんな」
俺のことを一体どんな人だと思ってるんだよ。
あくまでも俺の『縛りプレイ』は、いかに下準備で勝てる確率をあげるのかが重要だ。
なんの準備もなしに挑んでも死ぬだけだからな。
「それじゃあ、フィーニャ。少し遠くまで移動するぞ。狐の姿に戻れるか?」
「ふむ、そのぐらい聞かずともできるわ」
そういうことなので、フィーニャの力を借りて再び遠くまで移動する。
「それで、ここでなにをするのじゃ」
「武器の生産だよ」
来ていた場所は、鉱山だ。
以前もここで〈灼熱岩〉の採集を行った。
今回はここで大量の爆弾を作る予定だ。
ひとまず、生息している
ついでに、SPを消費してスキルを成長させておくか。
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SP16を消費して〈加工LV5〉にレベルアップさせました。
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〈加工〉がLV5まであがることで、できることが一気に増える。
例えば――。
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〈加工〉に成功しました。
〈地雷〉を入手しました。
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今までは〈灼熱岩〉と〈固い実〉に対して〈加工〉を用いても〈手投げ爆弾〉しか作れなかったが、レベルを5まであげることで〈地雷〉を作ることに成功する。
そういうわけで俺は〈地雷〉と〈手投げ爆弾〉を大量に生成する。
もちろん、他にも生成するものはある。
大量の〈鉱石〉と大量の〈灼熱岩〉を使うことで、〈巨大爆弾〉ができる。
これも〈加工〉がレベル5になったことで作れるようになったものだ。
「随分と大きいのー」
〈巨大爆弾〉を見て、フィーニャが感心していた。
爆弾の大きさはフィーニャの肩に届く程度にはある。威力は強力だが、重いため手で持って投げることはできない。
使うには、なんらかの工夫が必要ってわけだ。
その〈巨大爆弾〉を材料があるだけ作っていく。
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〈加工〉に成功しました。
〈猛毒ナイフ〉を入手しました。
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さらに、〈鉄鉱石〉と〈猛毒液〉を材料に〈猛毒ナイフ〉を作っておく。
これもあるだけ作っておこう。
あと、他にもこんなおもしろいものを作った。
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〈加工〉に成功しました。
〈閃光筒〉を入手しました。
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〈閃光筒〉は〈雷光石〉と〈固い実〉を材料に作ることができる。
投げると、目映い光が放たれて相手の目をくらますことができる。
逃げるときにも使えるし、役に立つ場面は多そうだ。
さて、ここでできることは一通りやったことだし、次の場所に向かおうか。
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