―05― 臭う獣
翌日、宿屋で寝泊まりした俺は朝食を終えると冒険者ギルドに向かった。
「さて、どれを狩ろうかなぁ」
冒険者ギルドにて、俺はそう呟く。
見ていたのは、モンスターの討伐依頼書。
昨日の
最低でも
それもレベル50は欲しいな。
「おい、お前新入りか?」
ふと、話しかけられる。
そこには無精ひげを生やしたおっさんの冒険者がいた。
「えぇ、まぁ、そうですけど」
確かに、冒険者としては新人なので、頷く。
「そうか、やっぱりな。見ない顔だと思ったんだよ。ジョブはなんだ?」
「錬金術師です」
「錬金術師だとぁ?」
おっさんはしかめっ面をする。
「生産職か。悪くことは言わない。そのジョブでは冒険者には向いていない。他の仕事をしたほうがいい」
世間一般で錬金術師がそういう評価なのは知っている。
もちろん、そんな忠告を真に受けるつもりはないが。
「わかりました。冒険者を諦めます」
とはいえ、俺は余計ないざこざは起こしたくないタイプだ。
テキトーにあしらうことにした。
なにせ、必要なモンスターはすでに手に入れた。
ここにはもう用はない。
「そうか。悪かった、変なおせっかいを焼いて」
「いえ、なんとも思っていませんから」
俺はそう口にして、冒険者ギルドを後にした。
◆
冒険者ギルドを後にした俺は馬車にのって、移動を始めた。
「ここから歩きでの移動になりますが……」
「いえ、ありがとうございます」
俺はそう言って馬車から降り立つ。
降り立ったそこは、プロフンド森林。この森林の奥地に、目的のモンスターがいるとのことだ。
「さて、まずは事前準備だ」
そう呟きながら、俺は森へと入っていった。
◆
「見つけた……」
俺は森の茂みに身を隠しながら、街で購入しておいた双眼鏡を手に、そう口を動かす。
視線の先には、あるモンスターがある。とはいえ、標的のモンスターではない。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
〈
LV:5
敵が近づくと悪臭を放って逃げようとするイタチに似たモンスター。
△△△△△△△△△△△△△△△
このモンスターの素材から作れるアイテムが欲しいのだ。
だから、探していた。
だが、それは敵を強敵だと認識した場合だ。
俺のような、レベル1の冒険者には躊躇なく襲いかかってくる。
そのことを俺は『ゲーム』で散々試したので、知っている。
まずは最初の一撃。
〈アイテムボックス〉から弓矢を取り出し、まだこちらに気がついていないのを利用して、確実に狙う。
ヒュン、と風を切る音がして、矢が当たる。
俺の攻撃力は低いせいで、恐らくダメージは僅かにしか与えることができない。
なので、この攻撃は気休めでしかない。
矢が当たった
そして、俺の存在に気がつくと、俺のほうへと向かってきた。
「はぁ……はぁ……」
ヤバい、興奮してきたのか、呼吸が荒くなってきた。
モンスターのレベルが8とはいえ、俺はレベル1しかない。
攻撃を食らったら、ただでは済まない。
この緊張感がたまらないっ。
このモンスターは最初の攻撃をかわされた場合、間髪入れずに襲いかかってくる傾向にある。
その際、敵の上部を必ず狙う。
だから、俺は屈んだ。
さらに、真上にナイフ突き刺す。
すると、狙い通り、
さらにトドメとばかりに、俺は〈手投げ爆弾〉を着地点に放り投げる。
爆発が
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
経験値を獲得しました。
レベル上昇に伴う経験値を獲得しましたが、〈呪いの腕輪〉の影響で、レベル1に固定されました。
SPを獲得しました。
△△△△△△△△△△△△△△△
無事、
さて、今回の目的は
なので、解体して、〈肛門袋〉と呼ばれる器官を取り出す。
この器官とビンを対象に、スキル〈加工〉を発動させる。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
加工に成功しました。
〈悪臭液〉を入手しました。
△△△△△△△△△△△△△△△
ビンに入った液体を入手する。
この液体がこれからある討伐を討伐するのに、必要なアイテムなわけだ。
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