シシス、もしくはエルフ語で6

「売れないなあ」

「売れないわねえ」

「ううんはたしてエルフに需要があるのか疑問になってきた」

「ご飯は好き嫌いしないのにね」

「そーゆー問題ではないんだ」

「まあ生き物は大変ですものねえ。あたしもこっそり小鳥を飼っていたのに、いつの間にか猛禽類に食べられていたのよ」

「それは災難な」

「まあこれも自然の摂理よ」

「たくましいな」

「そうでもしないと生きていけないもの。こんなにも野蛮な時代なのに」

「そうだなあ」

「あら、お客さんよ」

「おお淫魔の旦那じゃねえか。今日は身体売らねえからな」

「あらインキュバスで男色家なのね」

「そうそう。ぼくは美しい男を主食としているからね」

「搾り取られるかと思った」

「まあ、絶倫なのね」

「そりゃ淫魔だし」

「今日は衣類と装飾品を」

「エルフのよ」

「まあキミが売られているくらいだし、エルフの集落を襲撃したんだろうね」

「おう」

「あんなの滅んでほしいくらいよ」

「ひどい言いようだね。…この外套とネックレスは、何か魔法でもかけられているかい」

「いいえ、ただ綺麗なだけよ」

「ならこれで。あと、キミはいくらくらいだい」

「いくらなの?」

「金貨で百枚。格安だな」

「さては従順すぎて値引きされたね」

「ま、そゆこと」

「エルフの相場が大体三百くらいだからな、さっき売られたのがそれの倍」

「反抗的なのがそそるのかしら」

「奴隷としてはそうだね。…買おうかな」

「今なら毒耐性もついてくるわよ」

「毒なんて食わせないが」

「ぼくは別にそういった需要の客ではないんだか、まあ買うよ。ハイエルフなら鍛えれば魔法の素養もあるだろうし」

「変わり者もいたものね」

「はいきっちり丁度」

「さ、これにサインもしたしぼくの屋敷で着替えようか。流石にボロすぎて見ていられない」

「服なんて着られなかったわね」

「これは滅ぶべき部族」

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