めんどくさいこと
坂西警護
第1話 特段特別でもない人間の感慨
俺はとにかく悲観主義者だ。
端的に言って善だ、愛だ、世の中だのというものに対して積極的価値観を見いだすことがでいないでいる。
世の中の人々を見てみるとあまりに凡庸で俗物過ぎて嫌になる。
俗人なるものは日々の抑圧されたかたちで表現される生理的欲求を満たすことに関心を向け、それの体系を常識なる言葉で飾り立て……
そう、よく俗人は常識を語る。ただ金や異性を得たいという、俗悪な欲望を、さも素晴らしくいとも愛おしい物のように言い立て。
ただその世界に浸りきり、ぶつくさ呟きながらいやいや従い、そして自由を求めず隷属を押し付ける。
彼彼女らはただ単に、自らに浸りたいだけなのだ。
それは良い。まだわかる、そしてそれらをただ純粋に自己中心的な世界を押し付けるるのも面倒だか根元では理解ができる。
ただ俗人はその出生の卑しさを、まったく理解していない。
彼らは子供のごとく愚かに、青年のごとく激しく、壮年のごとく残虐に、老人のごとくイヤらしく、ただ自らの常識なるものの押し付けあい。
ひたすらに彼彼女らはどこまでも、子供のごとく無垢に、青年のごとく逞しく、壮年のごとく正しく、老人のごとく思慮深く、常識を恭しく、いや実際にはもっとおぞましいかたちで、ただ世界を支配しようとする。
つたない剣士たる俗人はある種のの優れた銃士であり、彼彼女らはあくまでも騎士道には乗っ取らない。
そんな愚にもつかぬ輩になるのは少し吐き気を催すので、ただ世間に出ず隠れていきることにした。
もっとも人が醜くなるときは働いているときだと俺は思う。
なぜ労働はこうも人々を歪に作り替えるのか。
彼彼女らは単なる不出来な人形に過ぎないのか?
神々のという怪しげな輩に操られ情念と欲望とに踊らされる、単なる一存在なのか?
ああ、とにかく俺は彼彼女らとは一定の距離を保ちたい。
『人間』この不出来な神々のオモチャは単に下らぬ駄弁と戯けた規則と血に濡れた争い事に興じている、単に愚かな狂った猿に過ぎないのか?
まあ、この国には便利な制度があって、所謂労働をしなくても、なんと娯楽まで楽しめる特典がつくため、俺は利用した。
遠慮などしない、いってしまえば矛盾した行為ともとられないが。
「では、逆に聞こう矛盾とは何かね」
俺は一人呟いた。
ニュースが流れる。
自立支援援助人法の成立。と
何人かのモニターが、選らばれて、その人が自立できるかいなかを本格的なサポートをもって社会という愚にもつかぬ世界に通じる人間にさせるらしい。
ピンポーン。
実は俺はそのモニターの一人。
特別補助金目当てで申請したら受かったのだ。
理由は?
運が良いからなのか?あるいは学校で(最早忘却の彼方だが)資格を多くとったからなのか?あるいは知能テストで良い成績を弾き出したからなのか?
まあ、なんでも良い、要は最初の準備金だけをまんまと得て、後は適当だ。
とにかく第一関門は、その自立支援援助人をどう捌くかだ。
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