★マンボウ島学園物語 ~俺の離島学生生活何かが起こりまくる~

くすのきさくら

第1章 まだ物語は始まっていない

~ここが始まりではない~

 ★


 今俺は、自分の通っている高校の体育館へと来ている。

 時間は放課後。周りは数人の生徒会の役員の生徒らが動き回っていて――カーテンを閉めたり。何かのコード?無駄に長いケーブル?などをセッティングをしている。

 そんな中で俺はというと。ただステージの前に立っているだけ。何もしていない。

下手すれば邪魔な人だろう。

 俺の近くの詳細を伝えておくと――。


「ちょっとー。バッテリーの予備どこ?」

「あっ生徒会室です」

「早く持って来て」

「副会長!照明の確認してください」


 生徒会役員の人たちがせわしなく動き回っている。

 本来なら俺も手伝うべきなのかもしれないが。俺は今の状況が全くわからないので。とりあえず大人しく立っているだけ。という状況だ。邪魔しても悪いからな。俺何もわかってないし。

 そうそう言っておくが俺は生徒会役員ではない。ただの生徒。この学校の高校3年生である。


 俺がここ。体育館に今居る理由は、生徒会長様に突然『かい。この島の説明をして』とか言われたのがきっかけなんだが。俺は『OK』とかの返事をしたわけではない。『海。この島の説明をして』と生徒会長様に言われたと同時くらいに、腕をすでに掴まれていて、そのまま体育館へと連行されたのが45分くらい前の話である。


 俺は――何しるんだよ。どうなるんだよ。とか思いつつ。

 再度周りを見てみると、やっぱり生徒会のメンバーしか見当たらないし。

 あっ、入り口付近に腕を組んでその様子を見ている人も――って、誰だっけ?あれは……って、あー、生徒会顧問の先生か。って、先生に助けを求めることはできないし。動き回っている生徒会の人には、なんか真面目な撮影なのかカメラ?とかの準備で、かなり忙しそうだから声をかけれないというか。

 マジでなんで俺なんかがこんな役になってしまったのだろうか。である。


 生徒会長様はこの島の説明とか言っていたが。説明ってなんだよ?である。学校案内?でもしたらいいのか?それとも本当に島の説明?ってなんでそんなことを俺がしないといけないのか。

 こういうのって事前に文章とかなんか作ってあるんじゃないの?俺には今のところ何も来てないんですが?そもそもこういうことにピッタリというか。島のが居るじゃないか。なんであいつがこの場に居ないんだよ。とかとか俺が勝手に頭の中でいろいろな愚痴を思っていると。


 ――突然なんか始まったのだった。

 いきなりのことだったがステージにあったスクリーンに映像が流れ出して……。


 ◆


 ここは本土から少し離れた海に浮かぶコマ島。名前の由来は大昔。まあそこまで大昔ではないらしいが。まあシンプルに島の形が昔はコマに似ていたから。とかいう理由らしい。


 近年は島の北側に緊急時用のヘリポートの整備。南側に港の整備などで少し形が変わり。さらに西側にあった山が数十年前にちょっと噴火したことにより。今ではコマ島。とはあまり呼ばれていない。もちろん地図などではちゃんとコマ島。と記載があるのだが。島民や周辺本土の人はと言っている。なぜマンボウなのかって?上空から見たら。または地図で見ると島の形が本当にマンボウだからである。さらに情報追加すると、噴火も落ち着いた山のところがちょうどマンボウの目に見えるということもあり。近年では完全に形がマンボウのため。マンボウ島と呼ばれている。


 ◆


 唐突に何か始まり、映像に合わせて喋っていた俺。ナレーション?とかいうのだろうか。まあとりあえず一段落した。って、本当にいきなり何が始まった?って、俺マジで何をしているのだろうか。


「――一応だが。島の説明はこんな感じでいいか?」

「うん。いいよいいよー。海。軽い感じでいいから」

「……いいのかよこんなんで。心配しかないんだが――」


 そんなことを俺が思っていると。次のシーンに移動する。いやいやいいのかよ。というか。俺の意思はなく。始まったら始めるというなかなかの無茶振りだった。


 ◆


 近年このマンボウ島も少子高齢化が急速に進み。若い人の人口流失が止まらず。高齢化率が跳ね上がっている。


 このままではいつかは島民が居なくなってしまう。と、危惧したマンボウ島の上林うえばやし町長が数年前に島の活性化の為に島の西側を全て高校大学一貫の学校にした。

 そう。町長が学校を作ってしまったのだと。そりゃまあいろいろ大変だったと。島の歴史やらやらで習ったが。

 そんなことできるもんなんだね。とか思って俺は聞いていたな。制度やらやらいろいろ問題はあったんだろうが。まあ今あるんだから良しなんだろう。詳しくは知らないがな。

 現在はマンボウ島に高校大学一貫の学校ができて3年が経過。


 1学年60人くらいの学生が居るため200人弱の若い世代というのか。まあ未来の担い手というのか――え?数がおかしい?高校大学一貫の学校ならあと250人くらい居るんじゃないかって?

 いやまてまて。その話もちゃんとするからな。一応できてまだ3年。つまり最高学年がまだ高校3年なんだよ。いきなり大学も募集。ってのはなんかできなかったらしく。まあ少しずつというのか。なので今の高校3年生はエスカレーター式にこの学校の大学1年となると初めてこの学校の大学部分が稼働するらしい。

 その初めてになるのが俺たち。今の高校3年生だ。だから大学には今はまだ誰も居ないんだよ。校舎はほとんど完成しているというか。高校と同じところに追加というのか。増設?みたいなところができている。


 ◆


 再度映像が終わる。


「って……とりあえず。島のことと。学校のことを触れたが。あとはなんの情報を話したらいいんだ?って――マジで俺何をしているんだ?」

「うんうん。海。今の途中にあった『え?数がおかしい?高校大学一貫の学校ならあと250人くらい居るんじゃないかって?』あのアドリブいいね。私は好きだよ。グッド」


 離れたところから生徒会長が親指を立てながらこちらにアピール?なのか。なんかしていた。


「……カンペに『なんかアドリブ入れろ』とか書いてあっただろうが」

「まあまあ。いい感じだよ。で、後は……じゃ新入生用の島の紹介ビデオも撮るから」


 無茶ぶり続くらしい。


「さらに無茶ぶりかよ!?今の紹介もなんかこんなんでいいのかよ?って俺思ってるんだが!?」

「言ってなかった?」

「言ってないよ!何も聞いてないよ!説明しか」

「説明って言ってるじゃん」

「説明だけで伝わるかよ」


 本当に無茶ぶりである。


 ちなみにm今俺に声をかけてきたのはこの学校高校の生徒会長。ちなみに1年生からずっと生徒会長の新居にい仁那になである。勉強スポーツ何をやらせてもほぼほぼトップを取ってしまうすごいお方だ。万能人間とでも言っておこうか。 

 あとスタイルが良く。美少女。ではなく。美女。という言葉が似合う。かなり男子からの人気も高い。なお、どっかの誰かさんは『あの人は爆弾を2つも持っている』と、とある体の部分を見ながら言っていたな。確かになかなかなんだが。って、これは触れなくていいな。俺は特に思ってないしな。どっかの誰かさんに関してはそのうち説明できるだろう。

 でだ。確か高校1年生と2年生の時は同じクラスだったため。ちょっとは話したりというレベルの関係だったのだが。クラスが違った3年になってからもちょくちょく話している俺の友人?である。ってか、どうも俺を便利屋とでも思っているらしい。


 行事ごとがあると普通に俺一般生徒なのに駆り出されているんだよな。などと過去の事を俺がちょっと思い出していたら。新居が俺に近寄ってきた。


「仕方ないなー。じゃ、さくっと次の打ち合わせしようか。で即撮るから。機材ある今しないと二度手間になるしね。それに体育館寒いから早く終わらしたいし」

「マジで無茶苦茶だよな?」

「仕方ないんだよ。先生が忘れてたから」


 そう言いながら入口にいる先生を見る新居。なるほど、あの先生がやらかしたか。にしても堂々といるな。監督みたいに立っているけど、って、自分は関係ないオーラすごいのにやらかした本人かよ。


「……部外者巻き込むなよ。生徒会で何とかしろよ。っかこういう時こそ上林使えよ。多分学校に居たぞ?」

「その浦太郎の推薦が海なんだけどねー」

「上林も一枚すでに噛んでいたか……って、だから食堂で話しかけてきたのか」

「まあまあ。浦太郎じゃオーラが強すぎて入学希望者減っちゃうかもだからね。普通の生徒が普通に紹介しているくらいがいいんだよ」


 いや、普通がした方が絶対いと思うのは――俺だけだろうか?一般人がなんか言っているくらいにしか俺じゃ思われないと思うがね。


「俺の扱いよ……」

「ほらほら時間ないからとっととするよ」

「マジか」

「マジマジ」


 それから俺は生徒会長様とちょっと打ち合わせ。からの半時間後には本当に再度撮影をしていた。


 ちなみに、ちょっと撮り直しとかはあったが。外が暗くなることには無事に撮影は終わった。


「……マジで疲れた」


 しばらくして、やっと撮影終了。新居と急いで話してまとめたところの撮影が全部終わった。そして終わったことにより。やっと俺は解放された。と俺が思ってステージから降りようとしたらだ。終わらないんだよなー。


 マイクを持っていた新居が『海。最後にこれ言って』と、なんか言ってきいた。


「はい?」

「これ!」


 俺が新居の方を見ると、バンバンと。カンペ?らしきものをこちらに掲げている。って、読むだけでいいなら。と俺は再度立ち位置へと移動して、新居の方にOKサイン。いや、もうなんかいろいろやっからな。何でもできるよ。って感じだったんでね。ちょっと追加くらい全く問題ない。


 それからちょっと体育館が静かになり。副会長のGOサインを確認してから俺は新居が出した紙を読んだ。


 ◆


「俺たちのコマ島……いや、やっぱり普段言っている名前の方がいいか。

マンボウ島での生活をゆっくり見てくれ」

 

 ◆


 ――文章的には短いものだったのだが……新居よ。何を言わせる?である。

まあ、もう何でもやってやるよ。的な感じに俺がなっていたからまあなんかやったが。ホントなんだよこれ。である。


 マジで俺は何をやっていたんだ?いや撮影が始まる前から。この文章。ビデオどこに使うんだよ。でも、ここで変に俺が何かを言うと撮影時間が延びるからな。俺も早く帰りたいし。という事で、まあ書かれていた文章をそのまま読んだのだが……マジで今の必要だったか?と俺は思いつつしばし待機する。


 周りでは今撮影したのをまだ確認中らしく。とりあえず俺は撮影終了の合図が出るまでは待機した。少しして終了の合図が出てから俺はすぐに新居に聞いた。


「新居。今の必要か?」

「一応ね。繋げて使えそうだったから。撮っておこうと思って。あとで欲しかったーだとまた準備大変でしょ?」


 カンペを片付けながら。満足そうな表情をしている新居は、俺にそんなことを言ってきた。って、使われない可能性もあるのか。俺の頑張りよ――。


「まあ確かに再度呼ばれるよりはいいが……今のマジで使うのか全部」

「使うと思うよ?先生たちの許可が出れば。それに海。普通によかったから」

「……やっていた俺はまぶしいだけでなんもわからんだが……」

「まあまあ完成したら見せてあげるから」

「お断るするわ。恥ずかしいし」


 はっきり言う。今の――見たくない。自分で見なくていいというか。なんか見たくない。


「えー、そういうなら強制的に見せたくなるねー。椅子にでも括り付けて見せてあげようか?それとも全校集会で?」

「恐ろしいことを次々と、この生徒会長は……不登校になるぞ」

「まあまあ嘘だよ。でもありがと。ホント助かった。また何か奢るからね」

「ホントだよ。倍返し以上で頼むよ」

「えー。まあ頑張ってもらったし。考えとくよ。じゃ私たち片付けがあるから」

「あー、片付けくらい手伝った方がいいか?」

「大丈夫大丈夫。海。ありがとね」


 それだけ言うと新居は片付けの方へと向かって小走りで移動していった。


「ああ。じゃ。お先に」

「おつかれー」


 振り向きながら新居が返事を――って、前見ないとこけるぞ。って――新居なら大丈夫か。万能だしな。とりあえず。俺達の学校。生活している島についての説明ビデオ?の撮影会は無事に終了した。


 ★


 俺が荷物を持って外に出ると……真っ暗だった。

 ちなみに今は12月。寒い寒い風が全身を襲ってくる中。俺は1人で家へと帰ったのだった。寒いかったー。

 ちなみにその帰り道『陽菜ひなを帰らしておいてよかった』とも思っている俺だった。何を言い出すって?いや、本当はな。今日も後輩と帰る約束をしていたというか。これはいつもの事なんだがな。もし陽菜を待たせていたら……と思うとな。俺正しい判断だった。こんな寒い時間まで待たせていたら……あとが怖いからな。

 えっ?だからそれは誰だって?さっきちらっと出てきたどっかの誰かさんだよ。とにかく今は寒いし帰る。じゃ。

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