ノーマルエンド



「えーっと……」

「はい」

「その、なんだ……」

「はい」


 勇気を絞りだして告白しようと息を大きく吸った瞬間、ガラガラと誰かが教室のドアを開け放った。


「お二人さん、お勉強頑張ってる?」


 おっとりとした柔らかな声。顧問のおばちゃん先生だ。

 ビクッと派手に反応してしまった俺たちは、真っ赤な顔で先生を凝視してしまう。

 タイミングを考えてくれよ……。なんでこのタイミングなんだ……。


「あら? もしかして、お邪魔しちゃったかしら」


 ニコニコ笑顔で全てを察した先生は、ゆっくりと扉を閉めていく。


「ごめんなさいね。二人とも、頑張りなさい!」


 サムズアップと笑顔が消え、青春ねぇ、と楽しげに呟きながら立ち去っていく音がした。

 その頑張れという応援は、絶対に勉強じゃないですよね……。

 恥ずかしい。猛烈に恥ずかしい。穴があったら入りたい。


「先輩……」

「お、おう……」

「勉強しましょうか」

「おう……」

「続きはテスト後にでも」

「おう……」


 その後のテストは全く集中できずに悲惨だったことは述べておく。

 なお、告白はOKでした。



<ノーマルエンド>






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