新米の新妹は最高の妹になりたい

水の中

プロローグ イルカ

 孤高のイルカがいた。


 そのイルカは、広大な水天一碧を自由気ままに泳いでいく。


 どこまでも遠く、果てしなく。


 仲間の群れをおいて。


 泳ぐことが大好きなイルカは、休むことを知らない。


 そのイルカは、息継ぎを続けながら洋々たる大海を泳いでいく。


 きっと楽しかったと思う。幸せだったと思う。


 だけどあるとき、孤高のイルカは泳げなくなってしまった。


 理由は明快。


 体が泳ぎたい気持ちについていけなかったのだ。


 孤高のイルカは苦しんだ。叫んだ。まだまだ泳ぎたいと泣き喚いた。


 でも助けてくれる仲間などいない。


 自らおいてきてしまったのだから。


 じゃあ孤高のイルカはどうすればいいのだろう?


 ただ真っすぐ泳ぎたかっただけなのに。


 ただ伸び伸びと泳ぎたかっただけなのに。


 孤高のイルカはどうすることも出来ない。


 昏くて何も見えない海底に沈んでいってしまう。


 あんなにも輝いていた目はすっかり闇に呑まれている。


 そんな孤高のイルカを助けるにはどうしたらいいのだろう?


 あたしはそれを探している。

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