第46話
レヴェナントが向かったのは、『冒険者ギルド』受付カウンターだ
幸いにして、人数がはけていたためすぐに順番がきた
応対していた受付嬢は 、20歳前後の若い女性だった
柔らかな表情を浮かべていた
「こんにちわ
本日はどうなさいましたか?」
応対していた受付嬢が尋ねてくるその声は、とても澄んでいて耳に心地よい
もし、肩に乗っている黒猫が視えたのであれば別の反応をしたことであろう
「依頼達成の手続きをお願いしたいんだけど?」
レヴェナントはそう言いつつ頸から吊るしている『青銅』小板を外して、カウンターに載せた
カウンターに載せた受付嬢はそれを手に取り確認すると、笑顔を浮かべつつ、カウンターの下に置いてある水晶球に手を載せる
頸から吊るしている『青銅』小板はレヴェナント自身が記入した記録用紙が一種の魔力媒体としており、登録することで本人である事を証明し、
更には、依頼を受けた際などは実績として記録される仕組みになっている
ちなみに、レヴェナントは、最初の頃こそ真面目に聞いてはいたが、幾度か
何度目かの時には右耳から左耳へ抜けている感じで、または適当にはぐらかす事にしていると、かなり面倒で長い説教をされた経験がある
「依頼達成ですね お疲れ様でした」
受付嬢が営業スマイルを浮かべつつ、何の問題もなく完了の手続きを終えた事を告げたその際、報酬となる銀貨5枚を受け取る
レヴェナントはそれを受け取り、礼を言うと踵を返し、その脚で向かったのは素材類の買取を行っているカウンターだ
「・・・にゃんこさん
今の受付嬢は、不審な点には気づいてはいないみたいだね」
レヴェナントが念話で囁く
『なぜそう思うのにゃ?』
黒猫の声が頭の中で響く
黒猫はレヴェナントの言葉を聞きながら、彼の左肩の上で丸くなりつつ レヴェナントを見上げていた
「あの受付嬢・・・・何か思考する時に癖なのか、自分自身の耳朶を触るんだよね」
レヴェナントは、
『本当に良く見てるにゃ』
黒猫の声が、頭に響く
その眼は細めていた
そうこうしているうちに素材類買取カウンターの前に立った
カウンターの後ろには、男性担当職員の姿があった
「買い取りをお願いします」
レヴェナントがそう告げつつ、黒い表面はやわらかい材質で出来ている
カウンターの上に麻袋と身分証にもなっている、
頸から吊るしている最底辺『青銅』の小板を外すカウンターに載せた
「確認するから、少し待っていてくれ」
男性職員がそれを手に取り、中身を確認するとほんの一瞬だけ、眉間にシワを寄せて怪しむような視線を向けた
だが、何事も言う事無くカウンターの奥へと消えていった
『さて、どう反応するかにゃ』
黒猫の声が頭の中で響く
「これが今までだと、腰抜かすとは思うけど、難易度が上がっているんだ
そんなに驚いたりはしないとは思うよ」
レヴェナントは念話で囁く
黒猫は前足で頭を掻きつつも尻尾を揺らした
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